欧州委、エコデザイン規則の作業計画を発表、化学製品は含まれず

(EU)

ブリュッセル発

2025年04月24日

欧州委員会は4月16日、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注1、2024年7月16日記事参照)および「エネルギーラベル規則(ELFR)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」への対応を示した第1回作業計画を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

2025年から2030年までの5年間で優先的に検討する製品グループは、ESPR第18条のうち、4つの最終製品〔繊維製品(特に衣類)、家具、タイヤ、マットレス〕と2つの中間財(鉄・鉄鋼、アルミニウム)に加え、2つの水平要件(修理可能性、リサイクル素材の含有率)が定められた。なお、同条に含まれていた情報通信技術(ICT)製品は、2つの水平要件に含まれる。

また、エネルギー関連製品については、エコデザイン・エネルギーラベル作業計画(2022~2024年)に基づき、改正前のエコデザイン指令の下で実施措置の検討が行われてきた35製品のうち19製品は、移行措置としてエコデザイン指令の下で実施措置が2026年12月末までに採択される。残る16製品(注2)に関し、欧州委はさらなる検討が必要とし、今回の作業計画に含めるとした。

一方で、第18条に記載されていた洗剤、塗料、潤滑油は、欧州委の共同研究センター(JRC)の分析報告(2024年12月5日記事参照)およびパブリックコメントでも他製品と比べ環境への影響は少ないとの結果を受け、含まれなかった。履物に関しては、廃棄物枠組み指令(2025年2月21日記事参照)で、靴類の製造事業者にも拡大生産者責任を課すことで循環性を高めることができるかなどを2027年末までに調査し、2028年の中間見直しで検討される見通し。化学製品は、JRCの報告でも環境および戦略的自律の観点から影響は大きいとされていたが、区分の複雑性を考慮し、2025年末までに対象となる化学製品の範囲などをより正確に定義する調査が実施されることとなった。

欧州委は、今回の選定は加盟国、関係者との協議、技術的な分析に基づいたものであり、2024年11月に設立された専門家グループ、エコデザイン・フォーラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの結果でもあるとした。EU共通の持続可能な製品要件は、単一市場の深化、手続きの簡素化、産業競争力の強化につながり、クリーン産業ディール(2025年3月4日記事参照)に沿った循環型経済の牽引に貢献するとした。今後、製品グループごとに具体的な要件を定める委任法令が策定される。要件の策定に際しては、中小、特に零細企業への支援にも配慮するという。

(注1)詳細はジェトロ調査レポート「EU循環型経済関連法の最新概要」(2024年11月)を参照。

(注2)低温エミッター、ディスプレイ、電気自動車(EV)充電器、家庭用食洗器、家庭用洗濯機・乾燥機、業務用洗濯機、業務用食洗器、電動モーター・可変速駆動装置、冷蔵機器(家庭用冷蔵庫・冷凍庫を含む)、販売機能を備えた冷蔵機器、光源・分離型制御措置、溶接機器、携帯電話・タブレット、暖房機、回転式乾燥機、スタンバイモード消費。

(薮中愛子)

(EU)

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