ストゥブ・フィンランド大統領、トランプ米大統領を非公式に訪問

(フィンランド、米国)

ロンドン発

2025年04月08日

フィンランドのアレクサンドル・ストゥブ大統領は3月29日、米国を非公式に訪問し、ドナルド・トランプ大統領と会談した。両国間の関係やウクライナを含む外交・安全保障ついて議論を行ったとされている。国営放送yle(3月30日)は、会談では米国によるフィンランド製の砕氷船の購入や、森林管理やNATO、欧州の安全保障に関する議論がなされたとしている。砕氷船については、北極海の航行に不可欠で、米国にとって戦略的に重要となっている(「ポリティコ」3月30日)。フィンランドは砕氷船の設計・建造で主導的な立場を担っており(「yle」3月30日)、2024年11月には米国、フィンランド、カナダの間で砕氷船の開発に向けた覚書に署名している。

ストゥブ大統領は翌30日に行った記者会見で、トランプ大統領に対して、ロシア・ウクライナ間の停戦の重要性を強調し、4月20日をその期限とすることを求めたと述べている(「yle」3月30日)。

米関税措置のフィンランドへの影響分析も進む

フィンランド産業連盟のティモ・ブオリ氏は3月31日、EUに対する米国の関税措置について、輸出への影響予測を発表した。現時点でフィンランドの輸出に対する直接的な影響は軽微なものの、鉄鋼価格の上昇や自動車産業の停滞に伴う欧州の成長鈍化といった間接的な影響は重大になり得るとした。米国はフィンランドにとって重要な市場だとし、25%の追加関税が賦課された場合は、輸出だけでなく、国内経済にとっても大きなマイナスの影響が生じるとした。また、フィンランド企業や消費者にとって不可欠、かつ代替品のないものについては、EUによる対抗措置の対象外とすることが重要とした。

フィンランド経済研究所(ETLA)も3月24日、米国の関税措置によるフィンランド経済への影響分析を発表し、仮に米国が全ての輸入製品に25%の関税を賦課した場合、フィンランドのGDPを0.5~1.6ポイント押し下げるとした。

(山田恭之、半井麻美)

(フィンランド、米国)

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