大連市、蘇州市、深セン市など9都市、サービス業開放拡大総合試行事業の対象地域に

(中国)

北京発

2025年04月16日

中国国務院は4月11日、商務部による「サービス業開放拡大総合試行事業の加速に向けた実施プラン」に対する回答書を発表した。それによると、遼寧省大連市、浙江省寧波市、福建省福州市、福建省アモイ市、山東省青島市、広東省深セン市、安徽省合肥市、陝西省西安市、江蘇省蘇州市の9都市を同試行事業の対象地域に追加した。

「サービス業開放拡大総合試行事業」は国務院が2015年5月に承認した「北京市でのサービス業開放拡大総合試行事業実施プラン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を基に、北京市で開始された。当初は3年間の取り組みとして市場参入規制の緩和や、管理監督モデルの改革、市場環境の改善に取り組み、全国に普及できるノウハウを蓄積するとした。その後は2017年、2019年、2023年に継続プランが承認され、段階的に取り組みを拡大していた(注1)。

また、2021年4月に天津市、上海市、海南省、重慶市の4つの省・市、2022年12月には遼寧省瀋陽市、江蘇省南京市、浙江省杭州市、湖北省武漢市、広東省広州市、四川省成都市の6都市がそれぞれ、サービス業開放拡大総合試行事業の対象地域に追加された。各地域でそれぞれサービス業の開放拡大に向けた実施プランを発表し、各地域に応じて具体的な取り組みを進めている。今回の対象地域拡大により、全国で20の省・市でサービス業開放拡大試行事業を展開することとなった。

商務部、民政部、人的資源社会保障部など9部門は3月28日付で「国家サービス業開放拡大総合試行事業による経験の複製・普及に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。QFLP(適格外国人有限責任組合員)の残高管理制度、データの知的財産権保護制度、外国人向け社会保障管理サービスの最適化、医療データの病院間での利活用などの9項目について、サービス業開放拡大総合試行事業でまとめた経験を全国または一部の地域で実施するよう求めた。

2025年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議では、電気通信、医療、教育分野などサービス分野の開放拡大を着実に推進する方針を示しており、サービス市場のさらなる規制緩和が期待される(注2)。

(注1)2019年11月、「北京市サービス業の開放拡大の全面的推進に関する総合試験活動方案」が承認され、北京市で設立された外資単独資本旅行社による中国国民のアウトバウンド旅行業務(台湾を除く)の試行経営を許可するなど、9項目のサービス業開放措置を発表した(2019年12月2日記事参照)。また、2023年11月23日には「北京市での国家サービス業開放拡大総合モデル区の建設深化を支援する作業プラン」が承認され、電子情報サービスや健康・医療、金融、文化教育など重点分野の改革深化・開放拡大、新興業態の規則・規範の構築などの6分野で、170項目余りの取り組みが盛り込まれている(2023年12月1日記事参照)。

(注2)商務部と国家衛生健康委員会、国家薬品監督管理局は2024年9月7日、「医療分野の対外開放拡大の試行に関する通知」を発表し、一部地域で外資独資での病院設立が可能になった(2024年9月11日記事参照)。

(張敏)

(中国)

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