米運輸省、車両安全基準を修正し、自動運転車も対象に追加

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月22日

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は3月10日、自動車車両の安全基準を定める連邦自動車安全基準(FMVSS)を修正し、対象に初めて「自動運転システム(ADS)を搭載した車両(注1)」(以下、ADS搭載車両)を加えることを発表した。今回の修正でNHTSAは、ハンドルやその他の手動制御機能を伴わない車両に義務付けられる安全基準を明らかにし、自動化レベル4、5(注2)に当たる自動運転車の開発と実用化を後押しする。

FMVSSは、連邦行政命令集タイトル49パート571(49CFR PART571)に記載されており、基準の内容によってさらに101番から500番の小項目に分かれている。今回の修正はそのうち、200番台に記載されている「乗員の衝突安全基準」に関する項目。これまで車両として想定されていなかった、ADS搭載車両の内装設計を説明するために、関連する用語を修正するなど現行基準の読み替えが行われた。例えば、エアバッグの設置要件や性能テスト手順の説明で必要とされる車内空間の位置に関する表現では、これまでの「運転席(driver’s seat)」が「前列または前部ドア側座席(front row or the front outboard seating position)」に変更され、従来の車両とADS搭載車両双方に適用されることとなった。NHTSAは、修正内容を最小限に抑えた上で、従来の車両と同様、ADS搭載車両に関しても高水準での乗員保護を維持するとしている。

今回の修正に関し、ピート・ブティジェッジ運輸長官は記者発表の中で、「2020年代を通じて、運輸省の安全に対する重要な使命は、安全基準と、自動運転および運転支援システムの開発の歩調を合わせることだ」「今回の新しいルールはその重要なステップで、ADS搭載車両の堅牢な安全基準を確立させるものだ」と述べている。

(注1)手動操作なしに車両を走行させることのできるシステム。

(注2)モビリティ専門家による、米国の非営利団体のSAEインターナショナルが定めた自動化のレベル。レベル4、5では人による運転が不要となる。

(大原典子)

(米国)

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