メルコスール加盟国外相、対外共通関税の例外品目リスト拡大で合意

(アルゼンチン、メルコスール、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2025年04月18日

メルコスール外相会合が4月11日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催された。正式加盟国のアルゼンチン、ブラジル、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイの各外相は、各国が持つ対外共通関税(注1)の例外品目リストの枠に、一時的に最大50品目追加することで合意した。

例外品目の数を増やして関税を引き下げる件については、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が訪米中の4月4日に行ったスピーチの中で言及していた(2025年4月14日記事参照)。メルコスール外相会合の共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回の合意は現在の国際情勢が抱える課題に対応することを目的としている。米国がメルコスール諸国に課している10%の追加関税の対象除外を念頭に置いたものとみられる。4月12日付のEFE通信によると、ウルグアイのマリオ・ルベトキン外相が外相会合で米国が課す追加関税の問題について議論したことを明らかにしている。

共同声明によると、メルコスールが進めている通商交渉についても、欧州自由貿易連合(EFTA、注2)、アラブ首長国連邦(UAE)との自由貿易協定(FTA)交渉の2025年上半期の妥結を目指す。また、メルコスールの執行機関の共同市場グループ(GMC、注3)で「メルコスールの近代化」に関する議論を5月2日に開催予定の外相会合に先駆けて行うことでも合意した。「近代化」が何を指しているかは明確ではないが、ミレイ大統領はアルゼンチンと米国の間のFTAの交渉を望んでおり、メルコスールの通商交渉体制、すなわち加盟国が一体となって交渉する現在の体制を見直し、各国が個別に通商交渉を行えるよう柔軟化するべきだと、かねて主張している。

(注1)メルコスールは、国内産業の発展度合いなどが異なるため、例外品目を定めている。ブラジルとアルゼンチンの上限はそれぞれ100品目、パラグアイは649品目、ウルグアイは225品目。関税率はWTOで許容される上限まで引き上げることができる。メルコスールの対外共通関税の詳細については、こちらの資料PDFファイル(728KB)を参照。

(注2)EFTA構成国はスイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの4カ国。

(注3)加盟国の外務省、経済省、中央銀行の代表により構成する。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、メルコスール、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

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