ハノーバーメッセで日欧の産業デジタル連携と大阪・関西万博来場を呼びかけ
(ドイツ、欧州)
ベルリン発
2025年04月15日
ジェトロは、世界最大規模の総合産業見本市「ハノーバーメッセ」(2025年4月10日記事参照)で初日の3月31日、ドイツ・欧州を始めとする来場者に対して日本の産業デジタル化(DX)の最新動向を紹介、日欧の相互交流を目的とするセミナー・ネットワーキング「Introduction of Industrial DX Ecosystem in Japan(280KB)」を開催し、約60人が参加した(YouTube動画
)。
志野光子・駐ドイツ日本大使があいさつし、労働者不足や気候変動による災害、脱炭素など日欧共通の課題解決に向けた産業デジタル化の協力の重要性を説明するとともに、ロボティクスやサイバーセキュリティー、スマートシティなどもテーマとする大阪・関西万博への来場を呼びかけた。ユリア・ブラウネ・ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)総裁は、日独の産業デジタル連携の好例としてDMG森精機の工場内の搬送自動化の事例を挙げながら、2021年の日独修好通商条約締結160周年を機として発足された2カ国および地域でのイノベーションを促進する日独イノベーションイニシアチブ160の継続に期待を表した。
在ドレスデンの半導体クラスターのシリコン・ザクソニー(2024年12月13日付地域・分析レポート参照)の主なメンバーであるスマート・システムズ・ハブCEO(最高経営責任者)のミシャエル・カイザー氏が登壇し、汎欧州で推進する半導体や機械エンジニアリング、ロボット、自動車、食品、製薬などの生産デジタル化のアクセラレーションプログラムを紹介し、日本との連携に高い期待を見せた。
日本からはロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)ジェネラル・マネージャーの中島一雄氏が登壇し、ドイツ発のマニュファクチュアリングX
(注)や国際的なデータ連携の枠組みであるインターナショナルマニュファクチャリングXなどとの連携の歩みを紹介した。また、日本全体のデータ連携の取り組みとして業種横断的なシステム連携を実現するためのアーキテクチャである「ウラノス・エコシステム
」にも触れ、欧州の産業界に連携を呼びかけた。
ドイツメッセ日本代表部の竹生学史氏は、各パビリオンに出展した日本企業各社の概略を紹介し、聴講者に大阪・関西万博への訪問を促した。ハノーバーメッセに継続出展する高石工業の代表取締役の高石秀之氏は、同社のゴムパッキン製品の技術力に加え、地元で開催する大阪・関西万博の概要や、同社製品が利用されている水素ステーションから水素を供給し万博会場と大阪市内をつなぐ、岩谷産業が手掛ける水素燃料電池船「まほろば」を紹介した。
本イベントの一環として、スマート・システムズ・ハブとドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)のデジタルハブのブースを訪問するツアーを実施し、ドイツ各地のエコシステムビルダーや企業との積極的な意見交換が行われた。
万博に向け水素燃料電池船「まほろば」を紹介(ジェトロ撮影)
産業DXをテーマに交流(ジェトロ撮影)
スマート・システムズ・ハブのブース(ジェトロ撮影)
(注)インダストリー4.0の主要プロジェクトとして、製造のバリューチェーンをつなげるイニシアティブ。
(小菅宏幸)
(ドイツ、欧州)
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