インドからiPhoneの米国向け輸出、3月に急増

(インド、米国)

ベンガルール発

2025年04月16日

インドで生産された米国アップルの携帯電話端末iPhone(アイフォーン)の輸出額が3月に2,000億ルピー(約3,400億円、1ルピー=約1.7円)と、前年同月の1,100億ルピーから約1.8倍となったとみられる。報道によると、輸出の大半が米国向けであることから、ドナルド・トランプ米大統領が各国向けの追加関税を発表する前に、米国内の在庫を積み増したことになる(「エコノミック・タイムズ」紙4月7日、「インディア・トゥデー」4月8日)。

インド政府関係者によると、3月の最終週にiPhoneを満載した航空貨物機計5機で空輸が行われた。インド国内で通常時より約20%の増産に対応すべく、台湾の鴻海精密工業傘下フォックスコンのiPhone工場では、従業員の増員や休日の稼働を行った。さらに、中国国内の空港で行われる税関申告不要レーンにならい、アップルはインド空港当局に対して、チェンナイ空港での通関手続きを通常の30時間から6時間に短縮するよう働きかけたと伝えられる(「タイムズ・オブ・インディア」紙4月11日、「インディア・トゥデー」4月10日)。

米国は4月2日に、インドを含めて追加関税や相互関税を課すと発表し、9日には中国から米国向け輸出製品に対する相互関税率を54 %から125%に引き上げると発表した。一方で、中国を除く56カ国の国・地域に対する相互関税は90日間停止し、ベースライン関税の10%を適用すると発表した(2025年4月11日記事参照)。

こうした一連の関税引き上げにより、米国内で販売されるiPhoneの価格高騰や販売量低下への対処として、インドからの調達を急ぎ、在庫を積み増ししているもようだ(「タイムズ・オブ・インディア」紙、「エコノミック・タイムズ」紙、「インディア・トゥデー」4月11日など)。ただ、米国税関・国境警備局(CBP)は11日に、相互関税から携帯電話やパソコンを除外することも発表しており、不透明な状況が続いている。

(大野真奈)

(インド、米国)

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