シンガポールとチリ、炭素クレジット実施協定に署名
(シンガポール、チリ)
シンガポール発
2025年04月09日
シンガポール政府は4月7日、チリとカーボンクレジット(炭素クレジット)協力に関する実施協定に署名した〔シンガポール貿易産業省(MTI)〕。同実施協定は、パリ協定第6条に沿った炭素緩和プロジェクトから創出された炭素クレジット移転の枠組みを確立する。両国は本署名後、批准手続きを開始し、実施協定の運用を開始する。炭素クレジットプロジェクトの認可プロセスなどは追って発表される。
シンガポールでは「国際炭素クレジット(ICC)フレームワーク」に基づいて、炭素税の課税対象企業は2024年1月から、課税対象の排出量の一部をICCと相殺できるようになった(2024年6月6日付地域・分析レポート参照)。実施協定に基づくICCプロジェクトから創出されたICCを適格基準に従って相殺対象とすることができる。
シンガポールとチリは2023年8月、パリ協定第6条に沿った炭素市場やカーボンプライシングに協力するための覚書(MOU)に署名(2023年8月14日付MTIプレスリリース)。同MOUの下で、パリ協定第6条に沿った調整カーボンクレジットの国際移転に関する2国間枠組みを定める法的拘束力のある実施協定に向けて取り組むことに合意していた。
シンガポールにとってチリとの実施協定は、パプアニューギニア、ガーナ、ブータン、ペルーに続く5例目。直近では、2025年4月1日にペルーとの間で署名した。これらのほかに、パラグアイ、ベトナムそれぞれとの間で、実施協定交渉が実質的に妥結している。また、その他の一部の国との間で、パリ協定第6条に沿った炭素クレジット協力に関する協力に向けたMOUに署名し、実施協定締結に向けた取り組みを進めているほか、より広範な炭素市場構想で協力するためのMOUを交わしている(2025年4月3日記事参照)。
(朝倉啓介)
(シンガポール、チリ)
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