4月から最低賃金を20%引き上げ

(モンゴル)

北京発

2025年04月22日

モンゴルでは4月1日から、最低賃金が月額66万トゥグルク(約2万6,400円、1トゥグルク=約0.04円)から、20%増の79万2,000トゥグルクに引き上げられた(注1)。この措置は家族・労働・社会保障省、労働組合、雇用者連盟で構成する国家労働社会問題協議3者委員会が2024年10月7日に決定していた。また、鉱業、建設業、道路輸送業などの特定部門は、業界固有の規制を通じて独自の最低賃金を設定する権利が与えられることも決定した。最低賃金を設定する際には、国民の最低生活水準や、労働生産性と平均賃金の適切な比率、社会保険基金を基にした最低年金額、経済成長と雇用率、インフレーションの要素を考慮するとしている。

国家統計局によると、社会保険庁が取りまとめた国内の企業・組織5万2,700社に勤務する78万7,400人の2024年第4四半期(10~12月)の平均給与は、前年同期比19.5%増の267万2,000トゥグルク、給与の中央値は25.1%増の222万9,400トゥグルク、男性は17.9%増の292万3,300トゥグルク、女性は21.8%増の241万600トゥグルクだった(添付資料図参照)。

職種別では、マネージャーが46.7%増の326万1,300トゥグルクで最も高く、機械オペレーター18.1%増の308万1,700トゥグルク、専門家20.5%増の300万7,900トゥグルク、技術助手9.4%増の288万5,300トゥグルクと続き、農牧林水産作業員が19.4%増の151万8,000トゥグルクで、最も少なかった(添付資料表1参照)。業種別では、鉱山採掘業の給与水準が引き続き高いが、5.4%増と、伸び率では他業種比で低い(添付資料表2参照)。

従業員数規模別では、200人以上の企業が15.9%増の350万6,500トゥグルク、100~199人の企業が19.1%増の296万3,100トゥグルク、50~99人の企業が21.4%増の278万1,000トゥグルク、10~49人の企業が21.2%増の228万8,200トゥグルク、1~9人が20.6%増の158万8,800トゥグルクだった(添付資料表3参照)。

企業・組織の所有形態別では、国有合弁会社が7.1%減の607万6,200トゥグルクで、前年同期比マイナスながらも、依然として給与額が最も高く、次いで100%外資企業が17.0%増の385万3,800トゥグルクだった(添付資料表4参照)。

国家統計局の4月14日の発表によると、2025年3月の消費者物価指数(CPI、2023年物価換算:注2、速報値)は前年同月比9.1%上昇、2025年2月のCPIは前年同月比9.6%上昇だった。CPIの前年同月比上昇率は2022年6月の16.9%をピークに、2023年10月以降は1桁台まで低下した。2023年12月以降はモンゴル銀行(中央銀行)が目標としている4~8%の水準に収まっていたが、2024年6月以降上昇傾向に転じ、2024年11月以降は中銀の目標レンジを上回っている(2025年3月4日記事参照)。

(注1)前回の最低賃金引き上げは2024年1月1日で、月額55万トゥグルクから20%増の66万トゥグルクに。その前は2023年1月1日で、月額42万トゥグルクから31%増の55万トゥグルクに引き上げられていた(2023年2月6日記事参照)。

(注2)2023年の消費バスケット(一定の財やサービスの数量の集合)のウエートに基づく暫定推定。

(藤井一範)

(モンゴル)

ビジネス短信 87c7f1890da7ddcc