モンゴル、最低賃金を引き上げ、個人所得税の累進課税導入

(モンゴル)

北京発

2023年02月06日

モンゴル労働社会保障省など関連当局の決定を受け、2023年1月1日から、モンゴルの最低賃金が月額55万トゥグルク(約2万1,100円、1トゥグルク=約0.0384円)に引き上げられた。これまでの月額42万トゥグルクから31%の引き上げとなる(注1)。

最低賃金引き上げの背景には、物価上昇の継続がある。2022年12月時点の全国の前年同月比インフレ率は13.2%だった。前回の最低賃金引き上げは2020年1月1日だが、2022年12月時点での2019年末比のインフレ率は31.9%に達する(添付資料図参照)。

また、過去数年の新型コロナウイルスの感染拡大などによる財政の悪化を受け、2023年1月1日から個人所得税に累進課税が導入された。内容は以下のとおり。

  • 課税所得1億2,000万トゥグルク(約460万円)以下の場合:従来の10%を課税。
  • 課税所得1億2,000万トゥグルクを超え、1億8,000万トゥグルク以下の場合:1億2,000万トゥグルクの10%(1,200万トゥグルク)に加え、1億2,000万トゥグルクを超える課税所得(超過分)に対し15%を課税。
  • 課税所得1億8,000万トゥグルクを超える場合:1億8,000万トゥグルクまでの部分に対する課税(2,100万トゥグルク)に加え、1億8,000万トゥグルクを超える課税所得(超過分)に対し20%を課税。

また、新型コロナウイルス感染者数の減少を受け、2022年12月末で新型コロナウイルス特措法(「モンゴル経済概況(2022年3月)」参照)が終了したため、普通預金への利息付与や外貨建て預金のペイオフが再開された一方、住宅ローンの返済猶予や子供手当の全世帯一律支給が廃止された(注2)。

(注1)前回の最低賃金引き上げは2020年1月1日で、月額32万トゥグルクから月額42万トゥグルク(2020年1月1日時点のモンゴル銀行公定レートで約1万6,700円、1トゥグルク=0.0397円)に引き上げていた。

(注2)2023年度予算に関する法案で、世帯所得の上位9%の世帯が対象から外れるが、残り91%の世帯には引き続き月額10万トゥグルクの子供手当を支給すると決定。

(藤井一範)

(モンゴル)

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