米国相互関税、湖北省の企業への影響も、小売業では支援の動き

(中国、米国)

武漢発

2025年04月22日

米国が発表した相互関税の導入について、中国中部地域の湖北省の対外貿易企業にも影響が出ている。同省の医薬品関連の康恩萃薬業はカルシウムのサプリメントなどを製造しているが、米国向けの製造は現在停止している。同社の2024年の年間生産額は7億2,000万元(約137億円、1元=約19円)で、米国での販売が9割を占める。同社の楊騰飛販売マネジャーは、米国ロサンゼルスの同社工場で生産した製品を中国に輸入しているが、この際かかる関税が倍増したという。一方で、OEM生産も行っており、そのために半製品を米国に送る必要があるが、その際には米国による追加関税に直面している。こうした二重の圧力を受け、米国事業を停止していると述べた(「長江雲新聞」4月16日)。

中部各省の政府では、対外貿易企業が受ける関税の影響に対する支援の動きがある(2025年4月15日記事参照)。また、湖北省の小売企業でも支援を開始する企業も見られ始めた。ショッピングモールなどを経営する湖北省最大の商業企業の武商集団は、対外貿易企業が国内市場を開拓し、輸出商品の国内流通を加速させるため、販売チャネルの拡大や、ブランドプロモーションの強化、データサポートの提供、サプライチェーン管理の最適化などを提供するイニシアチブを開始した。武商集団の担当者は記者団に、同集団の関連作業グループの設立を加速していると述べた。

また、台湾の潤泰集団が運営するスーパーマーケットの大潤発は4月13日、「輸出商品スーパー」特別支援計画と「輸出商品の国内販売」計画を発表し、あらゆる販売チャンネル資源の融合を通じて、高品質の輸出商品の国内消費市場への進出を加速させると発表した。同社は湖北省に9店舗を有し、「輸出商品」をテーマとする陳列エリアを現在増やし、ペット用品、アウトドアスポーツ、母子用品、家電製品、雑貨、アパレル、生鮮加工品などの主要な商品の陳列を強化している(「中央電視台国際在線」4月14日)。

(高橋大輔)

(中国、米国)

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