数年間で2,980億ドルの投資額、メキシコ政府見込み
(メキシコ)
メキシコ発
2025年04月30日
メキシコのマルセロ・エブラル経済相は4月24日の記者会見で、クラウディア・シェインバウム大統領の任期中に実施予定の対メキシコ投資額が2,980億ドルに上る見込みとの政府の独自調査結果を発表した。同調査結果によると、全国32州に合計1,937件のプロジェクトが計画されているという。多くのプロジェクトを抱えるのはバハカリフォルニア州、ヌエボレオン州、チワワ州といった北部国境付近に位置する州で、分野は製造業やエネルギー、水・ガスなどのインフラ、鉱業などが挙げられている。
同調査を指示したのはシェインバウム大統領で、その目的は「(1)経済効果と雇用創出効果の大きい投資案件を特定し、(2)これらの投資が成功するのに必要な支援を把握し、(3)この投資を容易にし、課題を取り除くため省庁間で調整する」ことだとしている。現在進行中のプロジェクトについて、446件が水、環境、エネルギー、経済、道路の面で課題を抱えていることがわかった。エブラル経済相は政府として「他の案件と同じペースで(投資計画を)進められるよう、課題への対応をしている」と付け加えた。
ドナルド・トランプ大統領の就任にともなう米国の動向により、メキシコでの事業撤退や、計画中のプロジェクトの中止といった企業の動きを報じるメディアもある中で、エブラル経済相は「中止を発表したプロジェクトは1件もない」と強調し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を締結しているメキシコがいまだに他国に対して優位性を保っていると説明した(2025年4月3日記事参照)。また、シェインバウム大統領も、IMFが2025年のメキシコの経済成長率(実質GDP伸び率)をマイナス0.3%と予測したことに再び言及し(2025年4月25日記事参照)、「まだ米国が全ての関税施策を明らかにしていない上、本日発表された投資見込みを考慮していない」と苦言を呈した。
なお、記者会見で36億ドルの投資を発表した飲料メーカー大手モデロ・グループの以外には、投資を予定している具体的な企業名やプロジェクト概要は明らかにされていない。
(渡邊千尋)
(メキシコ)
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