IMF見通しでマイナス成長も、メキシコ大統領は反論
(メキシコ)
調査部米州課
2025年04月25日
IMFは4月22日に発表した世界経済見通し(2025年4月24日記事参照)で、2025年のメキシコの経済成長率(実質GDP伸び率)をマイナス0.3%と予測した。2025年1月時点の1.4%から1.7ポイントの下方修正で、2026年の成長率についても、0.6ポイント下方修正して、1.4%とした。他の国・地域と比べると、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の平均値は2.0%だったほか、米国(同1.8%)や、その関税政策の影響を強く受けると思われるカナダ(同1.4%)、中国(同4.0%)と比べても、メキシコは相対的に低い結果となった。
これに対し、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は4月23日の記者会見で「IMFの予測はわが国の大蔵公債省の試算とは一致しない」として異議を唱えた。経済成長の鈍化への対応策として、国内産業の強化計画「プラン・メキシコ」(2025年4月11日記事参照)を引き合いに、5月には関連施策を複数発表する予定だと強調した。最新の大蔵公債省による発表では、2025年の実質GDP成長率の推定値は1.5~2.3%となっている。
IMFは今回の結果について、「2024年末から2025年初頭にかけて経済活動が予想よりも不振だったことに加え、米国の追加関税措置による不確実性と地政学的な緊張、金融市場の引き締まり」によるものだと説明した。
国立統計地理情報院(INEGI)の2月の発表では、2024年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前期比マイナス0.6%だった。米国金融大手シティグループは、2025年第1四半期(1~3月)の成長率が前期比マイナス0.4%との予測を発表し、2期連続のマイナス成長となり、景気後退局面に入ったとの見方を示した(「エル・フィナンシエロ」紙など各社報道)。INEGIは2025年第1四半期の統計を5月22日に発表予定だ。
米国の追加関税については、メキシコからの輸出品で影響を現在受けているのは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)原産品であれば、米国の1962年通商拡大法232条による品目別追加関税が課されている鉄鋼・アルミニウム製品と自動車(完成車)のみとなっている(2025年4月3日記事参照)。5月3日からは自動車部品に対する追加関税適用も想定されることから、その動向が注目される。
(加藤遥平)
(メキシコ)
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