3月インフレ率は3.34%に低下、野菜価格が下落

(インド)

ムンバイ発

2025年04月18日

インド統計・計画実施省(MoSPI)が4月15日に発表した2025年3月の全国ベースの消費者物価指数(CPI、注1)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は192.0ポイント(速報値)で、前年同月比3.34%の上昇にとどまった。CPI上昇率は2024年10月に6.21%と、14カ月ぶりにインド準備銀行(RBI、中央銀行)の定めるインフレ率の許容範囲(4%±2%)を超えたが、11月以降は再び範囲内に収まっている(添付資料図参照)。

同指数品目の半分近くを占める食品のインフレ率(注2)は前年同月比2.69%となり、年明け以降継続的に低下している(1月:5.97%、2月:3.75%)。2024年はモンスーン期の適量な降雨により冬季の野菜の生育が順調だったことなどから、特にインフレを牽引してきた野菜のインフレ率はマイナス7.04%となり、42.18%だった2024年10月以降は低下傾向にある。全品目のインフレ率は都市部で3.43%、農村部で3.25%だった。

地場格付け会社ICRAのエコノミストであるアディティ・ナヤル氏は、「市場予想に反して3月のインフレ率が連続して低下したのは、肉、卵、野菜などの食料品目の低下が主要因だった。今後気温が上昇すれば、生鮮食品の価格が今後数週間で上昇する可能性がある。今年のモンスーンの降雨が平年より多いという当初の予想は好材料だが、今後の農産物生産と食品インフレへの影響については、降雨の時期と分布が鍵となるだろう。また、RBIの今後3回の金融政策決定会合で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)の政策金利引き下げの追加緩和が検討されているのは明らかだ。次のインフレ率も4%を下回ることが予想されるため、2024年度(2024年4月~2025年3月)第4四半期のGDP成長率が急激に上振れしない限り、次回6月の利下げの可能性は高い」と述べている(「ニューズ18」4月16日)。

なお、インフレ率の落ち着きを受け、RBIは4月9日の金融政策決定会合で政策金利(レポレート)を25bp引き下げ、6.00%とした。2会合連続の利下げであり、金融政策スタンスも「緩和的」に変更された。声明文では、最近の食品価格の下落を中心とする物価安定を踏まえ、成長支援を優先する姿勢が明確に示された(2025年4月16日記事参照)。

(注1)全国ベースのCPIは基準年の2012年を100とし、農村部と都市部の各CPIを加重平均したもの。

(注2)ここでは、CFPI(消費者食品物価指数)のインフレ率を記載。

(篠田正大)

(インド)

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