韓国政府、米国の自動車関税に対応するための緊急対策を発表

(韓国、米国)

ソウル発

2025年04月09日

韓国政府は4月9日、米国の自動車および自動車部品の関税措置(2025年4月4日記事参照)に対応するため、「自動車エコシステム強化のための緊急対応対策」を発表した。韓国の自動車および自動車部品の米国への輸出は、対米輸出のかなりの割合(注1)を占めており、米国の25%の関税賦課措置により、最も打撃を受ける分野といわれている。

同対策の主な内容は次のとおり。

(1)企業の経営危機支援

  • 自動車産業に政策金融2兆ウォン(約2,000億円、1ウォン=約0.1円)を追加供給(2025年予定の13兆ウォンから15兆ウォンに拡大)し、今後の状況をみながら追加供給を検討。
  • 米国の関税措置の影響を受けた中小企業を対象に「緊急経営安定資金(2025年2,500億ウォン)」支援を拡大し、法人税・付加価値税・所得税の納付期限を最長9カ月、関税の納付期間を最長1年延長。

(2)需要拡大、新市場創出などの対応

  • 輸出の減少が予想されるため、国内需要の拡大を目指すべく、電気自動車(EV)に対する補助金を拡大し、補助金支給制度の期限を2025年6月から12月に延長。
  • 公共部門の新車購買を可能な限り上半期中に実施。
  • 締結済みのFTA(自由貿易協定)の早期発効などを通じ、グローバルサウスなどの新市場進出を積極的に支援。
  • 輸出バウチャー(注2)の大幅な拡大(2025年、現行の2,400億ウォンに対して、1,000億ウォン以上を追加)、貿易保険の支援拡大(限度の2倍増および短期輸出保険料の60%割引き)、輸出物流の負担緩和(部品企業に対する専用船舶・臨時船舶の提供)を実施。

(3)投資環境改善および未来技術力確保

  • 国内投資環境を改善するため、海外から韓国への直接投資に対する現金支援(2025年:総額2,000億ウォン)を迅速に実施。生産性向上のため、首都圏過密抑制圏内での生産可能分野を拡大(現在の塗装工程のみから車体組み立てなどまで拡大)。
  • 技術競争力確保のため、2025年上半期中に「自動運転ロードマップ」を、同年第3四半期中に「未来自動車の部品産業基本計画」を策定。

(4)米国の関税措置に対する交渉対応の強化

  • 持続的な対米交渉、米国との協力強化を通じ、他の同盟国に比べ不利な条件にならないように努力。

(注1)2024年の対米輸出1,278億ドルのうち、自動車は347億ドル、自動車部品は82億ドル。

(注2)中小企業などが一定額を自己負担すると、これに相当する補助金を政府が支給する制度。総額がクーポン形態のバウチャーで支給され、関連サービスを選択して利用できる。

(李海昌)

(韓国、米国)

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