インドネシア、米国との相互関税交渉、60日以内の合意目指す

(インドネシア、米国)

ジャカルタ発

2025年04月22日

米国の相互関税政策に対応するため、インドネシア政府は4月16日、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相を団長とし、スギオノ外相やスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相らで構成する代表団を米首都ワシントンに派遣し、米国通商代表部(USTR)との交渉を開始した。

アイルランガ経済担当調整相は17日、ジェミソン・グリアUSTR代表と会談し、両国は60日以内の交渉完了を目指すことで合意した(4月18日付、経済担当調整府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。アイルランガ経済担当調整相は同会談で「民主主義の大国同士として、インドネシアと米国は、互恵的な協力、特に公正でバランスの取れた貿易を実現するための協力に前向きだ」とし、エネルギーや農産物などの対米輸入拡大による貿易赤字の相殺や、重要鉱物分野での協力最適化などといった具体案を提示しつつ、自国の主要輸出20品目への追加関税撤回・引き下げを要請した。グリアUSTR代表は提案について評価し、実務者間の技術的協議開始に同意した。翌18日に開催された実務者協議では、非関税障壁の解消に向けた具体的な論点として、輸入ライセンス制度、国産化率要件、電子データの国際的な取り引きにかかる関税(2025年3月13日記事参照)などが取り上げられたもようだ(4月20日付、経済担当調整府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、アイルランガ経済担当調整相は、米国の貿易関税政策の責任者として任命されたハワード・ラトニック商務長官とも会談した。インドネシア側からは、米国からの具体的な追加輸入計画〔原油、液化石油ガス(LPG)、ガソリンなどのエネルギー製品や、大豆、小麦などの農産品〕を提示したほか、米国企業が懸念を示すインドネシア側の非関税障壁問題の解消(注)や、重要鉱物分野での協力推進などに取り組む方針を示した(4月19日付、経済担当調整府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

インドネシア政府はこれまで、米国相互関税への対応策として、プラボウォ・スビアント大統領が国産化率要件の柔軟化などを検討するなどと発表していた(2025年4月14日記事参照)。6月上旬まで(60日以内)に具体案を取りまとめ、7月9日に予定されている国・地域別の追加関税の発動回避を目指す。

(注)USTRは3月31日、2025年版の「外国貿易障壁報告書(NTE)」を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。インドネシアの非関税障壁として、複雑な輸入ライセンス制度や、特定の農産物に対する数量制限などが挙げられていた(2025年4月2日記事参照)。

(八木沼洋文)

(インドネシア、米国)

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