英政府、低炭素水素製造支援制度の候補リスト第2弾公表

(英国)

ロンドン発

2025年04月16日

英国政府は4月7日、第2回水素アロケーションラウンド(HAR2)の支援対象候補となるプロジェクトのリストを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現段階では27のプロジェクトをリストアップし、適正評価を経て、次の段階に進むことになる(添付資料図参照)。27のプロジェクトには、アンモニア製造や発電、ガラス製造、レンガ製造、持続可能な航空燃料(SAF)製造などに水素を利用するプロジェクトを含み、政府は、これらのプロジェクトが2029年までに10億ポンド(約1,890億円、1ポンド=約189円)以上の民間投資を英国に呼び込む可能性があるとしている。なお、政府はリストへの選定が支援を確約するものではないとし、全てのプロジェクトが支援対象となる可能性は低いとしている。政府はプロジェクト選定の1つの基準としてコスト削減を挙げており、各プロジェクトについて、第1回のラウンドと比較して大きな削減を期待するとしている。

HARは、水素製造向けの政府支援のうち、二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯留(CCUS)を伴わない低炭素水素の製造を対象としている。第1回ラウンドについては、2023年12月に支援対象となる11のグリーン水素のプロジェクトが発表されている(2023年12月18日記事参照)。このうち現在までに5つのプロジェクトについて、政府との契約が締結されており、スコットランドでのウイスキー蒸留所向け、イングランド北部ブラッドフォードでの掘削車両・バス向けのグリーン水素製造プロジェクトなどが含まれる。

英国政府はHARについて、第3回、第4回の実施に向けた準備を進めている(2025年3月27日付地域・分析レポート記事参照)。

なお、水素を利用する発電プロジェクトについては、英国政府が3月31日に意見公募の実施を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。水素を利用する発電プロジェクトのうち、広範な水素インフラを必要とせず、2030年までに運開が可能な技術に関する情報を収集するとしている。意見公募は5月12日まで実施する。

(ワルダ・ホリー、山田恭之)

(英国)

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