3月の米消費者物価指数の伸びは予想外に低下も、今後の景気減速に警戒感

(米国)

ニューヨーク発

2025年04月11日

米国労働省が4月10日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇と、前月の2.8%上昇から低下した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数も同2.8%上昇で、前月(3.1%上昇)から伸びが縮小した(添付資料図1、表参照)。CPI、コア指数のいずれも、市場予想を下回る伸びとなった。コア指数を年率でみた場合、前月比、3カ月前比、6カ月前比は、それぞれ0.7%上昇(前月2.8%上昇)、3.0%上昇(3.6%上昇)、3.0%上昇(3.6%上昇)だった。

品目別に前年同月比でみると、エネルギーは3.3%下落し、これが最大の押し下げ要因となった。一方、前月と同様に、鶏卵の値上がり(60.4%上昇)が続いたほか、外食(3.8%上昇)も伸びが加速し、食料品は3.0%上昇と、前月の2.6%上昇から引き続き伸び幅が拡大した。

コア指数では、財部門は0.1%低下で、前月と変わらなかった。サービスは3.7%上昇と、5カ月連続で伸びが低下した。物価のうち3割のウエートを占める住居費も、宿泊費やテナント保険などが低下した結果、4.0%上昇と、5カ月連続で伸びが低下した。その他のサービスでは、航空運賃が5.2%低下と大幅に低下するなどした結果、住居費を除くサービスは3.3%上昇となり、前月の3.8%上昇から引き続き伸びが鈍化した(添付資料図2参照)。

3月は予想外の低下となり、ドナルド・トランプ大統領は自身のSNSで今回の結果を評価したが、今回の低下がトランプ氏の意図するシナリオに沿った低下かどうかはわからない。エネルギー価格の低下は、米国内での生産の増加によるものというよりは、OPECプラスによる減産措置の緩和や、トランプ政権による関税引き上げに伴う世界経済への下押し懸念からの需要鈍化によるところが大きい。また、航空運賃や宿泊費の低下は、消費者による旅行関連の需要減速を反映しているとの指摘もあり(ブルームバーグ4月10日)、関税引き上げに伴う物価上昇懸念を受けた消費者マインドの低下が背景となっている可能性がある。

(加藤翔一)

(米国)

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