中国、米国の関税措置に対し他国や自分自身に損害をもたらすとの談話を発表

(中国、米国)

上海発

2025年04月09日

中国・国家発展改革委員会は4月3日に談話を発表し、米国が4月2日に発表した「相互関税による輸入制限により、米国の巨額かつ恒常的な財貿易赤字に寄与する貿易慣行を是正する」という内容の大統領令により、中国に対し34%の「相互関税」を新たに課し、トランプ新政権発足後に課された関税は54%に達していると指摘した。その上で、「相互関税」は国際貿易のルールに準拠しておらず、各国の正当かつ合法的な権利と利益を損なうものであり、断固として反対するとした。

国家発展改革委員会は談話の中で、新たな関税の影響により、米国では食品、衣料品、電子製品、日用品などの価格が上昇し、必然的に米国のインフレ圧力を高め、米国の個人消費支出が増えることで米国民の負担を増幅させることになる、と指摘した。また、「相互関税」は、製造業を米国に回帰させることを目的としているが、自動車部品など中間財の貿易コストを増大させ、サプライチェーンの寸断や産業の空洞化のリスクを高め、最終的に国内産業の競争力を弱めるものだとした上で、国際協力の基盤を損ない、米国を含む世界経済の長期的安定成長に影響を及ぼすと指摘した。さらに今後、米国は貿易相手国との対等な立場の対話を通じ、WTOを中核とする多角的貿易システムを維持し、イノベーションへの投資を増やして市場を開放することで、自国の貿易競争力を強化し、相互利益をもたらす経済協力と発展を実現することが必要だとした。

中国政府は今回の米国政府の措置を受け、米国原産の全輸入品に対し34%の追加関税を課すこと(2025年4月7日記事参照)や、中・重希土類の7種のレアアース関連品目について輸出管理を実施することなどの対抗措置を発表している(2025年4月7日記事参照)。

中国自動車工業会、中国電気機械製品輸出入商会、中国繊維輸出入協会、中国食品土畜輸出入協会など中国の主要な業界団体は、今回の米国政府の措置、中国政府の対抗措置を受けて声明を発表している。中国自動車工業会は、米国政府の措置に対し、断固として反対を表明し是正を求めるとした。また、米国政府の措置は世界の自動車産業のサプライチェーンの安定に大きな影響を与えると指摘した。それが自動車の価格を上昇させ、米国を含む各国の消費者に負担が増えるほか、世界経済の回復にも悪影響を及ぼすと批判した。中国電気機械製品輸出入商会は、中国政府が国家と企業の利益を守るために取るいかなる措置も支持すること、会員企業と団結し、海外展開を加速していくことを表明している。

(神野可奈子)

(中国、米国)

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