ロンドンでテック産業における女性エンパワーメントのイベント開催

(英国)

ロンドン発

2025年04月07日

英国のメディア会社チャンバーUKと人工知能(AI)関連の業界団体であるUKAIは女性史月間に該当する3月12日、英アクセラレーターのドーンキャピタルの施設において「エンパワーリング・ウーマン・イン・テック」を開催した。自由民主党上院(貴族院)議員のリズ・バーカー氏が司会を務め、女性のエンパワーメントに関する研究やデータを用いて性に関する誤った俗説の払拭を行うFemale Leadキャンペーン創設者エドウィナ・ダン氏と旅行サイトであるラストミニット・ドットコムの共同設立者で上院議員でもあるマーサ・レーンフォックス氏が登壇した。

英国のテック産業では、女性リーダーの不足が続いている。ロンドン証券取引所(LSE)の「FTSE100(注)」では女性役員が増えている一方、女性の最高経営責任者の数は減少し、特にテック業界で顕著な現状について触れられた。

女性のキャリア面の支援だけでなく教育に対する議論も上がっており(2024年3月25日記事参照)、ダン氏は今後のテック産業における女性参画について、「学校教育の場で、STEM科目を学ぶことが新たなキャリア・オプションにつながる点を認識させるべきだ」と提案した。

またディスカッションでは、現在のAIモデルの開発に関しても懸念点が挙げられた。バーカー氏は、データソースの透明性を確保する重要性を指摘。現在のAIモデルの開発には女性のデータソースが不足しており、多様性が十分に反映されていないことを問題提起した。将来的に女性のデータが適切に反映されたAIモデルが開発されれば、女性のエンドユーザーにも適した製品を提供できるようになり、ビジネス機会の増加にもつながると言及した。

2024年春には、責任あるAI開発や倫理基準の確立、AIを活用した社会の課題解決をリードしている女性の活躍に焦点を当てたシーシェイプスAIというプラットフォームが立ち上がった。2025年2月には、AIの開発や活用をリードする女性を表彰するアワードセレモニーの第1回をロンドンで開催した。

(注)ロンドン証券取引所(LSE)における株式指標。LSEに上場する企業のうち、時価総額上位100位の企業の銘柄で構成されている。

(パリー・真理奈、ワルダ・ホリー)

(英国)

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