ガボン大統領選、クーデター後初、ンゲマ暫定大統領が得票率90%超で圧勝
(ガボン)
アビジャン発
2025年04月22日
アフリカ中西部のガボンで4月12日、2023年8月のクーデター後初の大統領選挙が実施され、大方の予想どおり、国家機関移行再建委員会(CTRI)暫定政権のブリス・クロテール・オリギ・ンゲマ暫定大統領が対立候補を大差で抑え、当選を果たした。
エルマン・イモンゴ内務相が翌13日に発表した暫定集計結果によると、得票率はンゲマ暫定大統領が90.35%で、次点のアラン・クロード・ビリ・ビ・ンゼ元首相(3.02%)ら7人の対立候補を大きく引き離し、過半数を獲得したことから、1回目の投票で当選が決まった。有権者数は約92万人、投票率は70.4%だった。憲法裁判所は近く選挙結果について認定を行う。任期は7年(4月13日付「ジュヌ・アフリック」報道)。
AFPなどによると、ンゲマ暫定大統領は2023年に自身が主導したクーデター(2023年8月31日記事参照)を「国民解放」と位置付け、腐敗した旧体制派を一掃する「改革者」として自身をアピールして圧勝し、権力基盤を固めるかたちとなった。このクーデターにより、半世紀以上続いたボンゴ一族による独裁体制が崩壊した。人口の3分の1が貧困層のこの国で、石油に依存する経済を多角化し、農業、工業、観光業を振興することを公約に掲げている。
ンゲマ暫定政権は民主的な憲法秩序の回復に向けて、2025年末までに議会選挙、地方選挙、上院議員選挙を実施し、民政移管を完了させることを約束している。このプロセスの一環として、2024年11月に国民投票が実施され、新憲法が採択された。主な改正点は、大統領任期の7年2期制限、大統領の世襲制限、被選挙資格の国籍条項厳格化、首相職の廃止などとともに、副大統領と閣僚の任免権や議会の解散権など、大統領の権限が強化されている。ガボンの新憲法に対する国民の反応は、全体としては支持が高いものの、軍事政権の影響力が残ることへの懸念も併存している状況だ。
現地報道によると、次期国民議会で多数議席の獲得を狙うンゲマ暫定大統領は、その基盤である「創造者の結集(Rassemblement des Bâtisseurs、ROB)」を政党に改組するため、4月19日にROBの総会を招集した。
ガボンは産油国だが、石油依存からの脱却やインフラ整備が課題となっている。
アフリカ連合委員会のマフムード・アリ・ユスフ委員長は14日、ガボン大統領選挙の平和的実施と成功を歓迎した。
(渡辺久美子)
(ガボン)
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