ガボンで大統領選後にクーデター発生

(ガボン)

アビジャン発

2023年08月31日

アフリカ中西部のガボンで8月30日未明にクーデターが発生、同日早朝には軍部が現地テレビ放送を通じて「制度移行・回復委員会(CTRI)」による政権掌握を発表した。同月26日に実施された大統領選挙の結果、現地の選挙管理センターがアリ・ボンゴ大統領の3期目の当選を発表した直後に起きたもので、軍部は選挙結果を無効としたほか、政府、上院、国民議会、憲法裁判所など全ての共和国機関の解体と当面の国境封鎖を宣言した。ボンゴ大統領は現在、自宅に軟禁されている。

26日の大統領選では、ボンゴ氏と野党有力候補で元国民教育相のアルベール・オンド氏らが争った。しかし、選挙直後に政府が外出禁止令を出し、インターネットを遮断したほか、外国メディアの報道を停止するなど厳しい情報管制を行ったことから、オンド氏が選挙の不正を訴えるとともに、自らの勝利を宣言するなど混乱が続いていた。

30日夜の現地報道によると、クーデターを主導したブリス・オリギ・ンゲマ将軍がCTRI委員長と「政権移行期大統領」に指名されたが、現時点でボンゴ大統領が自ら辞任したとの情報は得られていない。市内ではインターネットが復旧しており、外国メディアの報道も再開されたが、夜間外出禁止令は引き続き維持されている。

ボンゴ大統領は、父のオマール・ボンゴ大統領の死去を受けて2009年に大統領に就任、2期14年を務めていた。同国では大統領の再選回数に制限はなく、父の在職期間(40年超)と合わせると、50年以上も親子で政権を独占していることから、世襲批判にもさらされていた。一方、オリギ将軍はボンゴ大統領の親戚に当たり、一時は政権から遠ざかっていたものの、2019年に帰国して軍の要職に戻っている。こうした経緯から今回のクーデターは、一部で大統領一族による権力争いだと指摘する声も上がっている。

(水野大輔)

(ガボン)

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