中国で対応分かれる米国相互関税、追い風になる日系企業も

(中国、米国)

広州発

2025年04月17日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月9日、56カ国・地域に対する相互関税を90日間停止する一方、中国に対しては同税率を引き上げて適用を継続する大統領令に署名した(2025年4月11日記事参照)。これを受けて、ジェトロは中国の広東省に所在する日系企業に、その影響や対応状況のヒアリングを行ったところ、日系企業の反応は分かれた。

広東省の化学品メーカーは、一部の原材料について、米国から輸入しているものを中国産に切り替えたという。同社は以前から現地調達化の推進を検討しており、大きな影響はないとみている。現時点では「当社から米国に輸出している商品はなく、直ちに出荷量に影響はない」としつつも、「顧客が米国に商品を輸出している可能性はあるので、今後影響が出てくる可能性がある」と話した。

今回の関税措置を前向きに受け止める企業もある。広東省の電気機器メーカーは「米国企業が競合相手のため、今回の関税はむしろチャンスになる可能性がある」と話す。同省のOA関連部品メーカーも「米国から輸入している原材料や商品はない。競合会社の扱う一部のデバイスは米国製のため、米国製商品の輸入によって多くの関税が課せられる措置は、当社にとって有利となる可能性がある」と話す。同社によると、同社製品に米国製の原材料は含まれていないことから、今後積極的に営業をかける予定という。現在はまだ様子見の姿勢を取る企業も多く、今回の関税政策が逆風となるか追い風となるか、各社は今後自社への影響を精査することが求められる。

なお、日系企業だけでなく、中国企業も関税対策を検討するところが出ている。中国で草刈りロボットを生産し、米国へ輸出している中国企業は、生産拠点の中国外への移転を検討しているという。現在の状況ではまだ検討の段階で、今後の米中政府の対応と移転の合理性に鑑みて決定するとのことだが、中国企業も米中双方の政府の動向を注視している。

(西村京子)

(中国、米国)

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