第1四半期のGDP成長率は6.93%も、今後の経済成長は不透明感高まる

(ベトナム)

ハノイ発

2025年04月15日

ベトナム統計総局は4月6日、2025年1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(推計値)を前年同期比6.93%と発表した。7.55%だった前四半期(2024年10~12月)と比べ伸び率がやや減速したものの、安定した成長をみせた(添付資料表参照)。ただし、今後は、米国が導入する相互関税(2025年4月3日2025年4月8日記事参照)などの関税政策により、ベトナム経済も大きな影響を受ける可能性がある。

産業別の成長率は、農林水産業が3.74%、鉱工業・建設業が7.42%、サービス業が7.70%だった。

農林水産業は、特に木材と水産養殖の生産量が増加するなど、収穫高・生産量が安定した。

鉱工業・建設業のうち、製造業は9.28%増だった。しかし、英国の調査会社IHSマークイットによるベトナムの製造業購買担当者景気指数(PMI、注)では、先行きの不透明感が影響したとみられ、製造業の景況感はやや低調に推移している。2024年12月~2025年2月にかけ、生産量と新規受注の双方が減少したことに伴い、景況改善・悪化の境目となる50を割った。3月は生産量と新規受注の増加に伴い、50.5まで回復したが、力強さに欠ける。

サービス業は、業務サービスの成長率が12.57%で最大だったほか、運輸・倉庫、教育、ホテル・飲食、文化・レジャーなどで9%を上回った。

米国の関税政策、今後のベトナム経済に影響か

米国の関税政策などを巡る不透明感の高い状況が続くが、4月9日時点では、ファム・ミン・チン首相は、政府および国会が定めた「通年のGDP成長率8%以上」という目標を堅持する方針だ。なお、地場VNダイレクト証券の予測によると、相互関税が46%課せられた場合はGDP成長率が2~3ポイント減少し、相互関税が20~25%に抑えられた場合は0.5~1ポイント減少するという(ボイス・オブ・ベトナム4月9日)。

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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