2025年度連邦政府予算が成立、「復興予算」と題し、予算規模は過去最大級
(ナイジェリア)
ラゴス発
2025年03月07日
ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領の承認により、2025年度(1~12月)のナイジェリア国家予算が2月28日に成立した。今年度は国家予算を「復興予算」として、54兆9,900億ナイラ(約5兆4,990億円、1ナイラ=約0.1円)を計上し、前年度比56.9%増となった(注1)。2024年12月時点では、国家予算は49兆7,400億ナイラで上程されていたが、審議を経て増額された。
3月4日時点で、予算局からは54兆9,900億ナイラではなく、上程時点の49兆7,400億ナイラの内訳のみが公表されている。同局によると、予算の歳入は36兆3,500億ナイラで、予算の不足額(赤字)は13兆3,900億ナイラと見込んでいた。
ティヌブ大統領は今回増額された予算の成立に当たり、2024年第4四半期(10~12月)のGDP成長率は3.86%となり、過去1年間での財政効率化の推進を反映し、予算の不足額は対GDP比で2023年の6.2%から、2025年には4.17%へと大幅に縮小したことを強調した。ほかにも、外国為替改革(2023年6月20日記事参照)により、投資家の信頼が回復してきたこと(2025年3月3日記事参照)や、最低賃金引き上げ(2024年8月6日記事参照)、近年のインフラ開発などに言及した。
その上で、重要な分野への予算配分を次のように行っていくとした。
- 国家安全保障:6兆1,100億ナイラ
- インフラ整備(鉄道、道路、エネルギープロジェクト):5兆9,900億ナイラ
- 人的資本開発(医療、教育、スキル開発など):5兆7,000億ナイラ
- 農業、食料安全保障:3兆7,300億ナイラ
- 社会福祉:7,236億8,000万ナイラ
ティヌブ大統領は今後の方針として、「歳入を拡大し、財政効率改革と収益強化の推進」「官民連携(PPP)や海外投資を加速し、主要プロジェクトの資金確保」「全ての政府機関に対し、透明性ある支出と費用対効果の徹底の義務付け」を図るとした。
今回の予算策定に当たり、原油価格を1バレル75ドル、国内原油生産量を日量206万バレル、対ドル為替レートを1ドル1,500ナイラ、ターゲットインフレを15.75%、GDP成長率を4.6%と想定した(注2)。
(注1)ナイジェリアの会計年度は1~12月だが、予算成立が遅れることが多い(2019年12月27日記事参照)。2025年度も遅れ、2024年12月末に当初予算の最終承認は新年度開始後の2月28日に行われると決定された。前年度予算は「希望再生予算」と題し、35兆500億ナイラの総支出額が計上されていた。
(注2)2024年度の予算策定時には、原油価格1バレル77.96ドル、国内原油生産量を日量178万バレル、対ドル為替レートを1ドル800ナイラ、インフレ率を21.4%、GDP成長率を3.88%と設定していた。
(奥貴史)
(ナイジェリア)
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