2020年連邦政府予算案が成立、例年にない早さ

(ナイジェリア)

ラゴス発

2019年12月27日

ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は12月17日、約10兆5,900億ナイラ(約3兆1,770億円、1ナイラ=約0.3円)の2020年度(1~12月)予算案に署名し、成立した。上下院が12月5日に法案を可決し、ブハリ大統領に送付していた。年度開始前に予算案に大統領が署名したのは、1999年の民政化以降では、2001年、2007年、2009年、2013年に続く5回目のことで、例年になく早い成立となった(2018年5月23日記事参照)。

12月20日に予算局が公表した予算内訳によると、石油部門による歳入見込みを前年度比28.8%減(2兆6,400億ナイラ)と現実により近い数値にし、石油部門以外の製造業や農業などによる歳入見込みを66.5%増(5兆5,100億ナイラ)として、歳入全体で7.4%増を見込んでいる。ブハリ大統領は、10月に予算案を発表した際のスピーチで、歳入の多角化戦略への決意表明だとしたが、付加価値税(VAT)税率を5%から7.5%へ引き上げることや印紙税(Stamp Duty)導入による増税で歳入増を図っており、製造業からの歳入が期待どおりに伸びるかについては疑問視する声もある。

インフラ整備や雇用拡大など、問われる大統領の手腕

予算が前年度中に可決したことによって、インフラプロジェクトが新年度に入ってすぐ着手できることは経済成長への貢献が期待できる。インフラ整備や教育水準の拡充など、雇用拡大に向けた投資をいかに実現するか、ブハリ大統領の手腕が問われそうだ。

(谷波拓真)

(ナイジェリア)

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