韓国、2024年の合計特殊出生率は0.75、9年ぶりに上昇

(韓国)

調査部中国北アジア課

2025年03月12日

韓国統計庁は2月26日、2024年の合計特殊出生率が前年比0.03増の0.75で、9年ぶりに上昇したと発表した。2024年の出生数は23万8,300人と前年比8,300人増加した(添付資料表1参照)。

合計特殊出生率を地域別にみると、世宗特別自治市が1.03人で、1を唯一超えており、続いて慶尚北道(0.90)、江原特別自治道(0.89)の順だった。一方で、ソウル特別市(0.58)が最も低く、釜山広域市(0.68)が2番目に低いことから、大都市部の出生数が依然として低い結果だった。

年齢階層別に総出生率(女性1,000人当たり出生数)をみると、30代前半が70.4人と最も多く、続いて30代後半(46人)、20代後半(20.7人)だった。第1子の出産平均年齢は33.1歳で、前年比0.1歳上昇した(添付資料表2参照)。

この結果を通して、低出産高齢社会委員会の周亨煥(チュ・ヒョンファン)副委員長は「婚姻数、妊娠・出産バウチャー(支援金制度)の実績などを分析した結果、2025年も合計特殊出生率は上昇する見込みだ。このような出生率反転の流れに乗って、今後とも少子化対策に拍車をかける」と強調した。

また、統計庁のパク・ヒョンチョン人口動向課長は「出産に対する価値観の変化と政府政策の効果が一部反映されたと考えられるほか、新型コロナウイルスの影響で、延期していた婚姻が増加傾向にある」と話した。

韓国政府は少子化対策予算として、2024年に15兆4,000億ウォン(約1兆5,400億円、1ウォン=約0.10円)投入すると発表していた(2024年9月2日付地域・分析レポート参照)。政府のみならず、企業も少子化対策に力を入れている。例えば、住宅事業などを手掛けるプヨン(富栄)グループは2024年2月に、2021年以降に出産した従業員の子供70人に出産奨励金として1億ウォンずつ、計70億ウォンを支給すると発表して話題になった。韓国大手ゲーム会社のクラフトン(KRAF)も、2025年1月1日以降に子供を出産した従業員に対し、最大1億ウォンの支援金を支給し、出産奨励金として6,000万ウォン支給すると発表した。

なお、厚生労働省の2月27日の発表によると、日本は2024年の出生数が前年比5%減の72万988人となった。

(益森有祐実)

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