カナダ中銀、政策金利を3.0%に引き下げ、6会合連続

(カナダ)

トロント発

2025年02月03日

カナダ中央銀行は1月29日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、3.0%とすることを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(政策金利レート推移参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回の引き下げは、6会合連続(2024年12月13日記事参照)となった。また、経済見通しを示す金融政策報告書も同日に併せて発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

声明では、消費者物価指数(CPI)の上昇率(インフレ率)が2%前後(2025年1月29日記事参照)と供給過剰の状態にあり、物価の安定を維持する目的で引き下げを決定したと説明。2024年6月以降の金利引き下げが経済活動を活発化しており、住宅市場や自動車などの高額な消費者支出が増加する一方、広範囲にわたるインフレ圧力の兆候が見られなくなったと分析した。一方で、雇用は改善しているものの労働市場は依然として弱く、12月の失業率は6.7%だった。移民受け入れ目標の削減により人口増加の鈍化が見込まれることから、2025年と2026年のGDP成長率については、2024年10月の発表より軟化させ、1.8%の予測となった。

また、金融政策報告書について中銀は、起こりうる貿易紛争の範囲と期間を予測することは不可能なため、米国によるカナダに対する追加関税(2024年11月27日記事参照)の施行がない場合のベースライン予測を提供した、と言及している。政策金利発表の記者会見で、「関税が導入された場合、金利はどうなるか」という記者からの質問に対し、「不明なことが多く明確な答えは出せない。成長は低下し、インフレが上昇するという複雑な経済打撃を受けるだろう。経済の弱さが支配的であれば成長に重点を置き、インフレがより大きな問題であればそれを抑制することに重点を置く。金融政策だけでは関税の経済的影響を相殺できないが、安定の源になるためにできる限りのことはする」と回答した。

発表を受けて同日、トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのディレクター兼シニアエコノミストのジェームズ・オーランド氏は「米国による関税の脅迫は主に交渉戦術であり、一時的で長期的な影響は少ないことを期待している。しかし、このリスクは中銀にとって重要な懸念事項である。われわれの基本予測では、年末までに金利を2.25%に引き下げるとしているが、米国による25%の追加関税が数カ月以上続くことになった場合、経済への打撃を緩和するため、より積極的に金利引き下げを行うと予想される」とコメントした。

次回の政策金利の発表は3月12日に予定されている。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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