ジェトロの関税相談窓口、開設1カ月で約200件の相談対応
(米国、カナダ、メキシコ、中国)
調査部米州課
2025年03月05日
米国のトランプ政権が2月1日以降、さまざまな追加関税策を打ち出したことを受けて、ジェトロは経済産業省と共同で2月2日に「米国関税措置等に伴う日本企業相談窓口」を設置した。開設1カ月を過ぎた3月3日終了時点での相談対応件数は約200件となった。
現時点(3月4日)までに実際に発動された追加関税は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて、中国原産品に対する既存の関税率に20%を上乗せする関税(2025年3月4日記事参照)、メキシコとカナダ原産品に既存の関税率に25%を上乗せする関税となる(2025年3月4日記事参照)。3月12日からは、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品に対して課されている追加関税措置が強化・拡大される見通しであるなど(2025年2月17日記事参照)、今後も異なる追加関税策が続くことが確実視されている(添付資料表参照)。
こうした動きを受けて日本企業は、事実確認や対策のために相談窓口を活用している。内容としては、自社が取り扱う製品がそもそも追加関税の対象となるか、なる場合に関税率はどう算定するのかという相談がよくみられる。これについては、対象となった国が原産(注1)となる全ての製品(注2)が対象となり、関税率はこれまで課されていた関税は維持されたまま、今回新たに発動された追加関税が上乗せされる。例えば、中国原産の電気自動車(EV、HSコード8703.80)の場合、米国がWTO加盟国に課している最恵国(MFN)税率2.5%に、第1次トランプ政権で発動されバイデン前政権で引き上げられた1974年通商法301条による追加関税100%が加わった上で、さらに今回のIEEPAによる追加関税20%が加算され、合計122.5%の関税となる。メキシコ、カナダからの輸入の場合は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で規定された原産地規則を満たしている場合は、いったん関税率はゼロとなり、それにIEEPAによる25%が加わり、25%の関税となる。
また、3月12日以降に措置の拡大が予定されている232条鉄鋼・アルミ関税についても、発表のあった2月中旬以降、相談が増えている。これについても、自社製品が対象となるかの確認や、最終製品は鉄鋼・アルミではないが鋼製部材に含まれる場合も対象となるかといった点が関心事項となっている。追加対象品目について基本的には、米政府が公示した官報(鉄鋼製品
/アルミ製品
)の付属書1(Annex I)で指定されたHSコードに該当する場合は、追加関税の対象となる。
3月4日に、1カ月間留保されていたメキシコとカナダへの25%の追加関税が現実となり、今後は他国から米国への報復措置も相まって、サプライチェーンの一層の混乱が予想される。ジェトロでは引き続き相談窓口での対応を継続していくので、活用されたい。
(注1)米国の税関が採用する「実質的変更(substantial transformation)」基準によって判定される。定量的な指標などはなく、当該産品が、固有の名称、特徴または用途を持ち合わせた、新たな異なる産品へと変更(transformation)したか否かに基づき、実質的変更の有無を判定する。
(注2)例外なく全ての品目が対象となるが、寄付目的の食品や衣料品、医薬品など、情報媒体、渡米者の荷物に含まれる個人利用目的の製品は対象外となる。
(磯部真一)
(米国、カナダ、メキシコ、中国)
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