交渉が難航するEUとのCEPA交渉、妥結目標は2025年前半
(インドネシア、EU)
ジャカルタ発
2025年03月03日
インドネシア経済担当調整府は2月15日、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相がEUのマロシュ・シェフチョビッチ通商担当委員とオンライン会談を開催し、インドネシアとEUの包括的経済連携協定(CEPA)の交渉を加速させることで合意したと明らかにした。
EUとのCEPA交渉は2016年7月に開始し、これまでに交渉会合を19回開催している(2024年3月14日記事参照)。交渉長期化の背景には、両者間におけるバイオ燃料の輸送用燃料への使用規制を巡る係争があった。パーム油を原料としたバイオ燃料の輸送用燃料への使用を2030年までに禁止すべきとのEUの輸入規則に対し、インドネシア政府はWTOに提訴していた。2025年1月、WTO小委員会(パネル)はインドネシアの訴えを認め、EUの措置がWTOのルールに整合的でないとの判断を示した。
EUのマロシュ通商担当委員はオンライン会談で、2025年前半の交渉妥結を目指すとのEU側のコミットメントと希望を表明し、「EUとインドネシアは市場や経済の構造が異なるため、(CEPA締結によって)より多くの市場機会を開くことができる」と述べた。また「関税戦争が繰り広げられる世界貿易の状況下、インドネシアとEU間の貿易・投資の円滑な流れを確保するための適切な緩和戦略が必要だ」と強調した。
プラボウォ・スビアント大統領は2月17日の記者会見で、経済成長のための2025年の経済政策のうち、対外経済対策について、インドネシアのBRICS加盟やOECDへの加盟プロセスの推進、EUとのCEPAの早期の交渉妥結が主要な取り組みと言及していた。
(大滝泰史)
(インドネシア、EU)
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