トランプ米政権の関税政策は行き過ぎと55%が回答、世論調査

(米国)

調査部米州課

2025年03月31日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月3日以降、自動車・同部品に対する追加関税を課すことを発表し(2025年3月27日記事参照)、自身の政策を推し進めているが、国内物価の上昇など経済への影響も懸念されている。最近の世論調査では、トランプ政権の関税への対応は行き過ぎと55%が回答した。

CBSニュースは3月30日、トランプ政権の動向などに関する世論調査結果(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、トランプ政権が関税を課すことについては、「行き過ぎ」が55%と過半、「妥当」は38%だった。一方、物価引き下げへの対応が「不十分」とする割合は64%、「妥当」は31%だった。関税が価格に与える影響では、「価格上昇」が短期的展望で72%と多数、長期的展望でも47%と半数近く、いずれも「価格低下」「影響なし・分からない」を大きく上回った。

自動車・同部品への関税の影響は大きくなるとみられ、消費行動の変化や共和党への政治的ダメージも懸念される。

関税によって新車価格が上昇し、中古車市場の需要が押し上げられることで、中古車価格も上昇が見込まれる。専門家は、価格上昇で自動車の購入可能性が下がると、裁量的支出を削減するなど、消費者支出にも影響を及ぼすとしている(ロイター3月30日)。

トランプ氏は関税により自動車の生産が米国に戻ると主張しているが、自動車メーカーは新工場の建設などの調整に多額の費用と時間がかかることから、米国への生産移転をためらっているもよう。また、トランプ氏が関税の発動と撤回を繰り返すことで、業界の最高経営責任者(CEO)たちは、同氏が長期的に計画を継続することに懐疑的だ(CNN3月30日)。

トランプ氏の関税政策は同氏の側近をも困惑させているという。関税によって、米国の自動車メーカーは事業継続が困難になることも予想される。政治面でも、共和党が2026年の中間選挙で議席を失って多数派から転落することもあり得るとする声も出ているという(政治専門紙「ポリティコ」3月29日)。

(注)実施時期は3月27~28日、対象者は全米の成人2,609人。

(松岡智恵子)

(米国)

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