日本での就業に高い関心、スリランカの政府機関や大学も後押し

(スリランカ、日本)

コロンボ発

2025年03月28日

スリランカから、海外への就労が拡大している。スリランカ中央銀行の発表によると、2024年に出稼ぎ労働者として海外に出国した人数は31万3,642人となり、経済危機が発生した2022年の31万1,269人を上回り、2000年の統計開始以降最多となった。また、同行が1月31日に発表した国際経済実績によると、2024年の郷里送金額は前年比10.1%増の65億7,540万ドルとなり、繊維製品・衣料品の輸出額50億6,100万ドルや観光収入31億6,860万ドルを上回る、最大の外貨獲得源になった。

就業先として、日本への関心も高まっている(2023年5月23日付地域・分析レポート参照)。日本の出入国在留管理庁は3月14日、2024年末時点の在留外国人数を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。スリランカ出身者は前年比35.2%増の6万3,472人で、ミャンマー(前年比55.5%)に次ぐ高い伸び率だった。在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留者数は1万6,163人で、ベトナム、中国、ネパール、韓国に次ぐ5番目だった。

スリランカ政府は、日本での就業を積極的に促している。外務・海外雇用・観光省傘下のスリランカ海外雇用局(SLBFE)のコーシャラ・ウィクラマシンハ長官は「日本は開拓余地が大きい海外労働市場だ。日本企業には、さらなる雇用機会の提供や、スリランカで日本語や基本技能の習得を図る教育訓練施設の設立を求めたい」と話した(インタビュー日:2025年2月27日)。

さらに、スリランカの大学も、学生の日本企業での就業を後押しする(添付資料参照)。コロンボ大学外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのH.D.カルナラトネ学長は「近年、学生の間で日本での就業への関心が高まっており、当校では日本語教育の充実化に取り組んでいる」と強調した(インタビュー日:2025年3月10日)。

また、ペラデニヤ大学外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのランジット・パルレーガマ副学長は「本校では100人以上の教員が日本で学位を取得しており、教育現場では日本の教育・研究内容が間接的に伝授されているため、学生にとって日本は馴染み深い国だ」と語った(インタビュー日:2025年3月11日)。

一方、ケラニヤ大学外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのディルルクシ・ラトナーヤカ教授は「日本語を学ぶ学生の間でも日本での就業機会は単純労働に限定されるという誤解があり、日本での就業制度に関する周知が必要だ」と指摘した(インタビュー日:2025年3月11日)。

(大井裕貴、服部峰郎)

(スリランカ、日本)

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