カザフスタンで大統領直属の原子力庁が設立
(カザフスタン)
調査部欧州課
2025年03月27日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は3月18日、大統領直属の原子力庁設立に関する大統領令に署名した。同庁はエネルギー省から、a.ウラン採掘における地下資源の利用、b.原子力の利用、c.国民の放射線安全の確保、d.セミパラチンスク核安全地帯の創設・運営の分野での機能と権限を委譲される。長官には、2023年4月からエネルギー相を務めてきたアルマサダム・サトカリエフ氏が任命された。エネルギー相の後任には、エネルギー次官だったエルラン・アッケンジェノフ氏が任命された。
これに先立つ3月14日、トカエフ大統領は第4回国民クリルタイ(注)の演説で、原子力庁が間もなく設立されると発表した。同時に、カザフスタンに3カ所の原子力発電所を建設する必要があるという見解を表明した。同大統領は、今後数十年にわたるダイナミックな経済発展の強固な基盤となる新たなエネルギー産業を創出することが戦略的に重要だと述べた(アザティック・ラジオ3月18日)。
2025年2月には、カザフスタンで最初の原子力発電所の建設予定地をアルマトイ州ジャンビル地区とする政府決定が発効した。建設企業候補として、中国、韓国、ロシア、フランスの企業名が挙がっている(2024年10月10日記事参照)。建設企業の選定は6月末までに行われる予定だ(フェルガナニュース3月18日)。
(注)2022年に発足した国民議会で、大統領直轄の諮問機関。国民の結束を固め、国家を強化するための施策を策定する。メンバーには議員、政府関係者、企業団体、専門家コミュニティーなど幅広い分野から選ばれる。中世から近世にかけて開催されたモンゴルの最高意思決定機関の名称「クリルタイ」をとったもの。
(小林圭子)
(カザフスタン)
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