トランプ対策に軸足、ASEAN経済戦略が5月に採択へ

(タイ、ASEAN、米国)

バンコク発

2025年03月03日

タイ商務省は2月26日、ASEAN関連会合に出席し、ASEAN経済共同体(AEC)における新たな戦略計画の策定完了を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

AEC戦略計画は、2月24~25日にマレーシア・ジョホール州で開催されたASEAN経済統合に関するハイレベルタスクフォース(HLTF-EI)会合で策定作業を終えた。同計画は209の項目に及び、ASEANの市場統合や経済危機への対応、イノベーション、気候変動といった課題に取り組む方針を掲げている(2024年9月4日記事参照)。

HLTF-EI会合では、ASEANのサプライチェーンに影響を及ぼし得る米国の通商政策への対応能力を高める方策について、議論が交わされた。トランプ政権への対応として、ASEANは、域内貿易・投資の活性化や、原材料の調達源の拡充、新たな輸出市場の確保などの取り組みに注力する方針だ。今回の会合では、米国との関係深化に向けた戦略を追求することで、ASEAN各国は合意したという。他方で、米国の通商政策に関する状況を注視しつつ、同政策が与える影響をさらに分析する必要性を強調している。

AEC戦略計画は今後、5月に開催される第46回ASEANサミットで、各国首脳により「ASEAN共同体ビジョン2045」とあわせて採択される見通し。2026年から2030年までのASEANの経済政策を方向づけるものとなる。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、ASEAN、米国)

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