国境特別経済開発区(SEZ)の最新開発・投資状況
(タイ)
バンコク発
2025年02月12日
タイ国家経済社会開発庁(NESDC)は2024年12月時点の国境特別経済開発区(SEZ)10カ所(添付資料図、表1参照)の最新の開発と投資進捗状況を公表した。国境SEZ開発は2015年以降、政府が進めており、各SEZにはタイ投資委員会(BOI)やタイ工業団地公社(IEAT)、歳入局、関税局がそれぞれ投資恩典を設けている(2024年10月8日記事参照)。
SEZ10カ所に対する2015年から2024年12月までの累積投資額(タイ政府投資を含む)は約536億バーツ(約2,412億円、1バーツ=約4.5円)となっている。上記の投資恩典を得ているか否かにかかわらず、SEZに登記した企業数は2015年から2024年12月までに8,150社(登録資本金合計157億バーツ、うち中小企業が98%)で、業種はビル建設、物流、衣類製造、不動産・ホテル・リゾート・コンドミニアム、水産品、発電機、木材加工製品だった。同期間の新規登記企業数では、ターク県(1,917社)、チェンライ県(1,768社)、ノンカイ県(1,279社)、ムクダハン県(1,054社)、ナコンパノム県(777社)の順に多い。
一方、IEATのサケオ県とソンクラー県のSEZへの投資金額(SEZ開発と入居企業による投資の合計)は約57億バーツで、前年と変わりなかった。また、トラート県とカンチャナブリ県、ナコンパノム県の土地開発への民間企業による投資金額は約51億バーツで、4年前と変わっていない。
個別の投資恩典の利用状況は、BOIからの認可件数125件、申請額約308億バーツのうち、実際に投資済みの案件は90件、約264億バーツだった。主な業種は衣類、プラスチック製品、家畜飼料、自動車、機械・同部品、建設機械、医療用ゴム手袋の製造だった。地域別では、タイとの国境貿易が最も盛んなマレーシアと国境を接するソンクラー県への投資が18件、約93億バーツで、金額ベースで35.1%を占め、最も多い。
外資によるBOI投資実施額をみると、天然ゴム製品の製造、工業製品用プラスチック部品や機械の製造などで28件、約42億バーツとなり、投資総額の16.0%を占めている(2月3日ジェトロによるヒアリング)。国・地域別の投資状況は添付資料表2を参照。投資を呼び込むために、BOIは奨励事業の変更や追加、中小企業、スタートアップ企業への支援などを行う予定。
なお、タイ政府は1月13日の閣議で、これら10カ所の国境SEZで政府が指定するターゲット産業に投資する企業の法人税を10年間、20%から10%に引き下げることを承認した。本社がSEZ内になくても、SEZ内に支社または工場を設立し、事業を行えばSEZ内で得られた利益に対する法人税は10%に減税される。施行は官報に掲載後となる。
(注)保税倉庫を設立する場合、申請者の最低登録資本金を1,000万バーツ以上から500万バーツ以上に減額する。フリーゾーンを設立する場合、申請者の最低登録資本金を6,000万バーツ以上から1,000万バーツ以上に減額する。
(高谷浩一、チャナットパット・スクマ)
(タイ)
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