米USTR、中国の海事・物流・造船分野の301条措置案を発表、中国建造船の米入港に追加料金
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年02月25日
米国通商代表部(USTR)は2月21日、中国の海事・物流・造船分野に対する1974年通商法301条に基づく措置の内容案について、近く公示予定の官報案を通じて発表した。
1974年通商法301条は、外国の通商措置や政策、慣行が通商協定に規定した米国の権利を侵害する場合や、不合理または差別的で米国の商業に負担や制限を与える場合に、外国の製品に対して追加関税など輸入制限措置を講じることや、外国のサービスに対して追加料金や制限を課す権限などを認めている(注)。USTRは2024年4月に、米国内の複数の労働組合から請願を受け、中国の海事・物流・造船分野に関する措置・政策・慣行を対象とした301条調査を開始した(2024年4月18日記事参照)。1月に調査結果を発表し、301条に基づく輸入制限措置の対象になると判断したが、具体的な措置の内容は示していなかった(2025年1月20日記事参照)。
今回の官報案では、追加関税などの輸入制限措置ではなく、(1)中国で建造された船舶の米国の港湾への入港時の追加料金や、(2)米国製品の輸出における船舶の利用条件などの措置内容案を示した(添付資料表参照)。例えば、中国で建造された船舶を所有する船舶運航企業(オペレーター)に対して、中国で建造された船舶の米国の港湾への入港1回につき、最大150万ドルの追加料金を課すことなどを示した。なお、USTRは実際に発動する措置はこれらのうち1つだけでなく、複数にまたがる可能性もあるとしている。
USTRは同日、措置の内容案に関するパブリックコメントを募集すると発表した。パブリックコメントの受付期間は2月21日~3月10日。USTRのウェブサイト
(ドケットID:USTR-2025-0002
)から提出・閲覧が可能。また、3月24日に首都ワシントンで公聴会を開催する。これらの意見聴取のプロセスを踏まえて、最終的な措置の内容が決定される。
(注)米国が中国原産品の輸入に課す7.5~100%の追加関税も1974年通商法301条に基づく(2024年6月18日付地域・分析レポート参照)。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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