沖縄で観光特化のスタートアップイベント開催、官民で海外SU誘致

(沖縄)

沖縄発

2025年02月26日

沖縄県は213日、観光関連分野に焦点を当てたスタートアップカンファレンス「アジア・ニュートラベル・ブートキャンプ2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を同県恩納村の沖縄科学技術大学院大学外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますOIST)で開催した。アジアで旅行・観光業に従事するスタートアップ(SU)や事業会社、行政機関による国境を越えたオープンイノベーションを促進することを目的に、前年に続いて2回目の開催となった。イベントには、日本を含むアジア8カ国・地域から23社のスタートアップ、120を超える事業会社が参加し、計200人以上が来場した。

写真 会場となったOIST(主催者提供)

会場となったOIST(主催者提供)

イベントでは、20社を超える国内外のスタートアップによるピッチイベントのほか、ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブの提携先であるシンガポールのミート・ベンチャーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますMeet Venutres)、香港のライム・エイチケイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますLimeHK)をはじめ、アジア4カ国・地域のアクセラレーターが一堂に会するトークセッションが実施された。スタートアップと事業会社の国際的な協業を成功させるポイントとして、「各社の事業内容の強みに基づく役割分担」「政府機関や現地エコシステムプレーヤーとの連携」などが挙げられた。

写真 ピッチイベントに登壇した台湾のスタートアップ(主催者提供)

ピッチイベントに登壇した台湾のスタートアップ(主催者提供)

沖縄県は、日本を代表する観光地の一方、人手不足の問題を抱えており、観光客の多様化するニーズ(注1)への対応が困難になっている。今回のイベントは、こうした課題に対応するため、革新的なソリューションを試す場として、国内外のスタートアップを沖縄に誘致し、事業会社との連携などを通じて、県の主要産業の観光業をさらに発展させる狙いがある。県は近年、新技術の実証実験や社会実装を積極的に行うため、「沖縄実証実験支援プラットフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を設置し、社会課題の解決に資するイノベーションが継続的に生まれるような環境の整備に取り組んでいる。

県内アクセラレーターも海外スタートアップの誘致支援

沖縄での実証実験の可能性に注目し、海外スタートアップを誘致する取り組みは、民間主導でも行われている。今回のイベントの前日には、「コザスタートアップ商店街外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を運営するフォーシーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが同社の展開するアクセラレーションプログラム「Acceleration Program for Okinawa Japan Expansion外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のデモデーを実施し、台湾スタートアップ6社を沖縄に招聘(しょうへい)した。同社の豊里健一郎代表取締役は「沖縄は、日本市場を狙う海外スタートアップの実証実験の場として、大きなポテンシャルがある」と述べた。離島などでは都市部などに比べて、人や物の流入を測定しやすく、実証効果を測りやすいという。実際に、招聘した企業の1社のチューリング・ドライブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますTuring Drive)は1月に、県内でモビリティー事業を展開するエクトラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと協業し、レベル3での自動運転走行の実証実験を宮古島で実施した(注2)。

写真 招聘した台湾のスタートアップ6社と関係者(ジェトロ撮影)

招聘した台湾のスタートアップ6社と関係者(ジェトロ撮影)

(注1)例えば、新型コロナウイルス禍以後、ワーケーションの場所として、沖縄に比較的長期間滞在するノマドワーカーが増えていることや、中国、台湾からのクルーズ船の観光客向けに、現地通貨での決済システムとの連動などが求められていることが挙げられる。

(注2)自動運転レベル3とは、一定の条件下で緊急時などを除き、全ての運転をシステムが行える技術のこと。エクトラとチューリングドライブの実証実験は、ジェトロの公募した「対内直接投資促進事業費補助金」事業に採択され、実施された。

(高濱凌)

(沖縄)

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