米232条関税、国内の鉄鋼・アルミ業界は歓迎も、川下産業の負担に懸念
(米国、メキシコ、カナダ、中国)
ニューヨーク発
2025年02月12日
米国のドナルド・トランプ大統領は2月10日、全貿易相手国の鉄鋼・アルミニウム製品の米国輸入に25%の追加関税を課すとともに、適用除外制度を廃止する大統領布告を発表した(2025年2月12日記事参照)。米国の鉄鋼・アルミの業界団体はこの発表を歓迎する一方、首都ワシントンのシンクタンクからは米国経済への悪影響を懸念する声が上がっている。
米国鉄鋼業界団体の鉄鋼製造業者協会(SMA)のフィリップ・ベル会長は2月10日に発表した声明で、関税は外国の不公正貿易慣行や過剰生産能力に対抗するための強力な手段だとし、「米国の鉄鋼産業とその労働者を第一に考えたトランプ大統領を称賛する」と述べた。米国アルミ業界団体のアルミニウム協会(TAA)のチャールズ・ジョンソン会長兼最高経営責任者(CEO)も2月11日に発表した声明
で、「トランプ大統領が米国のアルミ産業を支援するために強力な貿易措置に継続的に取り組んでいることに感謝する」とした上で、米国のアルミの製錬能力が不十分だとして、実行可能な国内産業保護の措置を継続的に講じるよう訴えた。
一方で、米国シンクタンクのケイトー研究所のリサーチフェローのクラーク・パッカード氏らは2月10日に発表した論考で、鉄鋼・アルミ製品を利用して製造を行う、建設、自動車、産業機械などの業界の生産コストが上昇する可能性を指摘し、「米国経済、特に製造業にとっては大きな損失を招くことになる」と懸念を示した。なお、米国国際貿易委員会(USITC)は2023年3月に発表した232条関税の経済的影響に関する報告書の中で、影響は産業分野ごとに異なるとしつつ、調達コストの上昇により、サプライチェーンの下流での生産が減少したことを報告している(2023年3月20日記事参照)。
なお、USITCの貿易統計によると、2024年の米国の鉄鋼製品の輸入額(通関ベース)は811億ドルで、国・地域別にはカナダ(132億ドル、16%)を筆頭に、中国(124億ドル、15%)、メキシコ(104億ドル、13%)が大きい。アルミ製品の輸入額は266億ドルで、国・地域別にはカナダ(114億ドル、43%)が最大で、中国(29億ドル、11%)、メキシコ(18億ドル、7%)が続く(添付資料表参照、注)。
(注)鉄鋼製品は米国関税分類番号(HTSコード)72および73類、アルミ製品は76類の輸入額を示した。
(葛西泰介)
(米国、メキシコ、カナダ、中国)
ビジネス短信 515b96839592e9e8

これから開催される中国関連イベント
該当するレポートはありません
カテゴリー | タイトル | 開催日 | 開催場所 | ステータス |
---|---|---|---|---|
展示会・商談会 イベント | 国内輸出商社・海外バイヤーとのマッチング商談会 in埼玉(サプライヤー募集) | 2025年12月02日 | さいたま市 | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 イベント | トランプ2.0で激化する米中摩擦 ―新たなグローバル経済安全保障リスク― | 2025年10月23日 | 大阪 | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 ライブ配信のみ イベント | 第3回【1万者支援 初心者講座】Tmallで売る!中国SNSで広げる!越境EC成功の秘訣ウェビナー | 2025年09月29日 | オンライン開催(東京発) | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 ライブ配信あり イベント | 【会場参加/同時ライブ配信】 中国企業による日本企業向けピッチイベント “Japan Jo!nting” (2回目:AI・ロボティクス分野) | 2025年10月15日 | 中国・上海/同時ライブ配信 | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 ライブ配信あり イベント | 【会場参加/同時ライブ配信】中国自動車業界・スタートアップ最新動向セミナー | 2025年10月23日 | 名古屋/同時ライブ配信 | 申し込み受付中 |
展示会・商談会 ライブ配信のみ イベント | 【オンライン商談会】海外企業とのオープンイノベーション商談会 | 2025年10月16日 ~2025年12月19日 | オンライン開催 | 近日中に受付開始 |
展示会・商談会 イベント | 第11回中国国際シルバー産業博覧会(SIC) | 2025年11月27日 ~2025年11月29日 | 中国・広東省(広州市) | 申し込み受付中 |
特集:米国関税措置への対応
米国の第2次トランプ政権が発表した関税措置により、賦課対象となった地域に展開する日本企業の事業運営にも影響が予想されます。
かかる状況を踏まえ、ジェトロは米国関税措置等に関する相談対応や様々な情報発信を行い、中小企業等の日本企業の皆様の活動を支援します。

これから開催される第2次トランプ政権・米国関税関連イベント
該当するレポートはありません
カテゴリー | タイトル | 開催日 | 開催場所 | ステータス |
---|---|---|---|---|
セミナー・講演会 イベント | 米国・トランプ政権の「今」を読み解く ―関税政策の最新情報と企業への影響― | 2025年10月24日 | 長野 | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 イベント | トランプ2.0で激化する米中摩擦 ―新たなグローバル経済安全保障リスク― | 2025年10月23日 | 大阪 | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 ライブ配信のみ イベント | 【ウェビナー】米国関税措置に対する法的観点からのリスク対策 | 2025年09月25日 | オンライン開催 | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 オンデマンド配信のみ イベント | 【ジェトロ・メンバーズ限定】ブラジルの発展の軌跡 ―トランプ政権の対ブラジル関税政策を含め― | 2025年09月11日 ~2026年02月27日 | オンライン開催(東京発) | 申し込み受付中 |
セミナー・講演会 イベント | 貿易実務の基礎と米国関税の最新状況セミナーin川越市 | 2025年09月26日 | 川越 | 申し込み受付中 |