米国のIEEPA対中追加関税、電子機器中心に米側輸入価格上昇の懸念も
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年02月06日
米国のトランプ政権は2月4日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、全ての中国原産品の米国輸入に対して、既存の関税率に10%を上乗せする追加関税の賦課を開始した(2025年2月4日記事参照)。
今回のIEEPA関税の対象(米国の中国からの輸入総額、2023年)は、米国国際貿易委員会(USITC)の輸入統計によると、4,251億ドル相当だった(注1)。これは同年の米国の全世界からの輸入総額(3兆725億ドル)の13.8%を占め、メキシコ(4,730億ドル、15.4%)に次いで、国・地域別で2位だった(添付資料図参照)。
第1次トランプ政権は2018年7月~2019年9月に計4回にわたり、当時3,600億ドル相当の中国原産品の米国輸入に対して、1974年通商法301条に基づく追加関税(注2)を賦課した。今回の追加関税の対象は、当然ながらこれを上回ることになる。
ただし、301条関税の関税率は当時最大25%だったため(注3)、関税コストを単純計算すれば(注4)、301条関税が708億ドル規模だったのに対して、今回のIEEPA関税は425億ドル規模と、相対的には小規模にとどまる。
一方で、米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)経済プログラムディレクター兼国際ビジネスショールチェアのフィリップ・ラック氏は2月3日のウェビナー
で、「これまでの記録によると、中国に対する追加関税のコストの大半を米国側が支払ってきたことが分かっている」(注5)、「今回の結果も大きく異ならないはずだ」と述べ、今回のIEEPA関税が米国内での輸入品の販売価格の上昇につながる可能性を指摘した。
なお、USITCの輸入統計によると、米国の中国からの輸入額が最大の品目(注6、2023年)はスマートフォン(440億ドル)で、中国からの輸入総額の10.4%を占め、ノートパソコン(361億ドル、8.5%)、リチウムイオンバッテリー(132億ドル、3.1%)が続いた。
ジェトロは今回の件に関して、経済産業省と共同で「米国関税措置等に伴う日本企業相談窓口」を設置し、積極的な相談対応・情報提供を行っていく。
(注1)香港、マカオを含む。
(注2)リスト1:2018年7月から輸入額340億ドル相当に対する25%の追加関税。リスト2:2018年8月から輸入額160億ドル相当に対する25%の追加関税。リスト3:2018年9月から輸入額2,000億ドル相当に対する25%の追加関税(2019年10月に10%から25%に引き上げ)。リスト4A:2019年9月から輸入額1,100億ドル相当に対する7.5%の追加関税(2020年2月に15%から7.5%に引き下げ)。
(注3)2025年9月に301条関税の賦課対象品目が追加されたほか、関税率が最大100%まで引き上げられた(2024年12月12日記事参照)
(注4)輸入額に関税率を乗じて簡易的に試算した。
(注5)例えば、2023年3月20日記事、2024年5月16日記事参照。
(注6)米国関税分類番号(HTSコード)8桁ベース。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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