トランプ関税の懸念で駆け込み消費が進む、「破滅的支出」の現象も

(米国)

ニューヨーク発

2025年02月25日

米国で適切なカード選択のための情報を提供するクレジットカード・ドット・コムは2月18日、ドナルド・トランプ大統領就任後の消費傾向の調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これによると、トランプ氏による関税強化に対する懸念から、米国の消費者の5人に1人が通常よりも多くの商品を購入していると回答した。

調査の中で、トランプ氏が計画している関税が高額な買い物に与える影響について尋ねたところ、回答者の22%が「大きな影響がある」と答え、30%が「ある程度の影響がある」と回答した。関税の導入で、物価上昇につながる恐れが高まっており、景気の先行き不透明感に対する消費者の不安の高まりが反映されている。

多くの消費者は、潜在的な商品の供給不足や値上げに備えており、トランプ氏が2024年11月の大統領に当選して以降、消費者の28%が500ドルを超える高額な出費を行ったと回答した。高額な買い物をした人が最も多く購入したものとして、電子機器(39%)、家電製品(31%)、住宅リフォーム用建材(25%)などが挙げられた。

なお、回答者の5人に1人は、最近の支出習慣、または今後の出費計画を「ドゥーム・スペンディング(破滅的支出、注2)」と位置付けており、クレジットカード使用者の34%は2025年の使用状況が悪化、あるいは借金を背負いそうだと回答している。

米国調査会社ヌメレーターの調査(注3)によると、消費者の4人に3人(76%)は、新たな関税への対応や準備として、家計や購買行動を変更すると予期している。最も多かった回答は「価格上昇を相殺するためセールやクーポンを求める」の41%だった。そのほかでは、「輸入品の購入を減らす」(30%)、「米国製の代替品に切り替える」(26%)が続いた。一部では、関税引き上げに応じて購入時期を動かす行為も見られ、「値上げに先立って買いだめをする」(23%)、「価格が安定するまで購入を遅らせる」(22%)などの回答が2割以上だった。

(注1)米国市場調査会社ポールフィッシュを通じ、クレジットカード・ドット・コムが米国居住者2,000人を対象に、2025年2月13日に実施した。

(注2)政治や経済情勢に対する不安から、気を紛らわすためにお金を費やす行為などを指す。

(注3)1,023人の米国の消費者を対象に2月11日に実施された。

(樫葉さくら)

(米国)

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