米下院、中国からの輸入に対するデミニミスの適用停止を称賛
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年02月05日
米国のドナルド・トランプ大統領は2月1日、カナダとメキシコに25%、中国に10%の追加関税を課す大統領令を発令した。その後、カナダとメキシコに対しては、30日間の適用停止を発表したものの(2025年2月5日記事参照)、米国の産業界からは、新たな関税措置に反発の声が上がった(2025年2月4日記事参照)。一方で、共和党が多数を占める議会からは、中国に対する新たな追加関税の発動と非課税基準額(デミニミス)ルールの適用停止を称賛する声が上がった。
連邦議会下院で税と通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は、新たな追加関税賦課の発表があった2月1日、「カナダ、メキシコ、中国が麻薬カルテルを壊滅させ、フェンタニルのような麻薬の米国社会への流入阻止に必要な措置を拒否する限り、われわれはこれらの危機を解決するため、関税を含む利用可能な全ての手段を使わなければならない」「これらの措置はまた、米国政府に何十億ドルもの新たな歳入をもたらすだろう」との声明
を発表した。その後、中国に対してのみ新たな追加関税を課すことが決まった2月4日、スミス氏は「中国は長年にわたり、低価格の商品を市場に大量に流入させ、税関の取り締りを回避することで、米国の製造業者や小売業者を打ち負かすために、デミニミス特権を悪用してきた」と述べ、トランプ政権によるデミニミス・ルールの適用を停止する措置を称賛
した。米国では、輸入申告額が800ドル以下の少額貨物の輸入に対して、関税支払いなどが免除されるデミニミス・ルールが設けられているが、今回の追加関税の対象品目は、同ルールが適用されないことになっている(2025年2月4日記事参照)。
「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)も2月4日、「デミニミスの適用廃止は、強制労働によって製造された中国製品の輸入を阻止しながら、米国の労働者や企業にとって公正な競争を確保するための重要なステップだ」として、中国に対するデミニミスの適用を恒久的に停止するための法案を可決すべきだとする声明
を発表した。
中国に対しては、トランプ政権1期目の2018年から、1974年通商法301条に基づき、追加関税が課されている(注)。米国では、デミニミス・ルールが追加関税の抜け穴となるだけでなく、フェンタニルや強制労働により生産された製品の流入につながっているのではないかと懸念されている(2024年9月17日記事参照)。こうした事態を受け、米国税関・国境警備局(CBP)は1月に、301条などに基づいて関税が課される品目をデミニミス・ルールの対象外とする規則案を発表している(2025年1月29日記事参照)。
(注)今回の追加関税措置は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課されている。IEEPAについては、2024年12月10日付地域・分析レポート参照。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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