トランプ米政権、連邦政府支出の一時凍結を指示するメモを撤回

(米国)

ニューヨーク発

2025年01月30日

米国のトランプ政権は1月29日、連邦地裁からの一時差し止め(2025年1月30日記事参照)を受けた連邦政府支出の一時凍結措置に関し、1月27日に出されていたメモ(2025年1月30日記事参照)を撤回すると発表した。

キャロライン・レビット大統領報道官が自身のSNSで述べたところによれば、この撤回は「裁判所の差し止め命令によって生じた混乱を終わらせるため」に行われたとのことだ。ただし、同時に、今回取り消されたのは、あくまで1月27日のメモの内容のみで、「既存の大統領令に基づく措置自体は引き続き完全に効力を持つ」ほか、「連邦資金凍結の撤回ではない」とも述べている。例えば、「米国のエネルギーを解き放つ大統領令(2025年1月22日記事参照)」の中で言及されている、インフレ削減法(IRA)およびインフラ投資雇用法(IIJA)で割り当てられた資金の支出を即時停止する措置などは引き続き有効だ。

それでも、今回の措置については、パティ・マレー上院議員(ワシントン州、民主党)が、「声を上げた全ての人にとっての重要な勝利だ」と述べたほか、メディアからも「この指令撤回の決定は、重大な方針転換であり、連邦政府を自分のイメージに合うように作り変え、反対意見を労働者から排除するため行政権をちゅうちょなく行使してきた大統領による最初の大きな屈服」(「ニューヨーク・タイムズ」紙1月29日)との評価がなされている。

他方で、ドナルド・トランプ大統領は、政権が裁量的支出プログラムを見直し、「政府内で長きにわたって行われている詐欺、不正、無駄、乱用を迅速に調査」することができたと位置付けているもようだ(ブルームバーグ1月29日)。今後もさらなる連邦支出プログラムの見直しがなされる可能性もあり、引き続きその動向が注目される。

(加藤翔一)

(米国)

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