国産大型旅客機「C929」の量産化に向け、炭素繊維複合材料部品の製造工場が新設へ

(中国)

上海発

2025年01月17日

中国・江蘇省常州市に本社を置き、炭素繊維複合材料を利用した航空機部品を製造する常州啓富安泰複合材料技術は2024年12月31日、同省無錫市において、国産民間旅客機に利用する複合材料部品の製造工場を新たに新設すると発表した。総投資額は約10億2,000万元(約214億2,000万円、1元=約21円)に上り、第1期プロジェクトとして、敷地面積は73ムー(約5万平方メートル、1ムー=約666.67平方メートル)を計画し、2棟の工場や関連施設を建設する。中央国有企業の旅客機メーカーである中国商用飛機(以下、COMAC)が製造する「C929」の研究開発・試作・量産を支援するとした。

第1期プロジェクトは2025年末までに完成し稼働する予定で、年間生産能力は航空機用炭素繊維構造部品約2万点分で、年間生産額は約8億元、利益総額7,000万元を目指すとされている。「C929」はCOMACが開発を進めている国産大型ワイドボディ旅客機で、座席数は280席、航続距離は1万2,000キロメートルだ。

COMACと中国航空最大手の中国国際航空(国航)は2024年11月12日、広東省珠海市で開催された第15回中国国際航空宇宙博覧会(中国航空ショー)において、C929の初めての販売契約を締結している。

中国では2023年5月に、COMACが製造する中国初の国産中型旅客機「C919」の商業運航が開始されている。「C919」は座席数158~192席、最大航続距離5,555キロの中型旅客機だ(2023年6月7日記事参照)。中国東方航空は2025年1月1日に、上海~香港間でも「C919」の運航を開始し、「C919」の中国国内の運航都市数は11都市まで拡大している。現在、COMACは「C919」の欧州航空安全機関(EASA)型式証明の取得を目指しているとされ、2024年にはEASAの代表団が、上海市で「C919」の現地検査を実施した、と報じられている(「第一財経」2025年1月1日)。

(神野可奈子)

(中国)

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