中国初の国産中型旅客機が商用運航を開始

(中国)

成都発

2023年06月07日

中国大手航空会社の中国東方航空(以下、東方航空)ならびに中央国有企業の旅客機メーカーである中国商用飛機(以下、COMAC)は5月28日、中国初の国産中型旅客機「C919」の商業運航開始を発表した。5月28日に上海虹橋国際空港と北京首都国際空港を結ぶMU9191便、翌29日に上海虹橋国際空港と成都天府国際空港を結ぶMU9197便で運航を開始した。

C919はCOMACにより開発・製造された、座席数158~192席、最大航続距離5,555キロの中型旅客機だ。2007年に同機の生産プロジェクトが開始し、2017年5月に初飛行が行われた。2022年9月には中国民用航空局による航空運送事業許可を取得し、同年12月に、中国初の国産中型旅客機としてC919が東方航空に納入された。

COMACはC919のほか、既に商用運航を開始している小型旅客機「ARJ21」の開発・製造も手掛けている。COMACの魏応彪副総経理は「これまでの数世代の努力を経て、中国の民間輸送市場は中国自主開発のジェット旅客機を手に入れることができた。旅客機関連産業は新しい発展段階に進んでいる」と述べた。

C919の開発には、多数の中国の研究機関および企業などが参加している。例えば、機体の先端に取り付けられる「レドーム」と呼ばれるドーム状レーダーは、四川省成都市にある国有航空機メーカーの中航成飛民用飛機が設計・製造している。同じく成都市にある国有企業の中電科航空電子は、航空電子システムの開発・製造を、四川省徳陽市の国有企業の中国第二重型機械集団(以下、中国二重)は主脚部分や降着装置の研究開発および製造を手掛けている。中国二重でC919のプロジェクトに携わる羅恒軍総括エンジニアは「C919に使われている降着装置の鍛造品は7年にわたる研究開発による優れた製品で、高い基準と精度だ」と解説している。国産化率に関しては、COMACの周貴栄副総括設計エンジニアが2017年5月、中央人民広報網によるインタビューで「C919の国産化率は約50%であり、そのうち純国産部品と、中国と海外企業の合弁企業が中国で生産したものが含まれている」と回答している。

また、航空市場の展望について、中国民航管理幹部学院の鄒建軍は「2040年までには、中国市場では6,700機のナローボディ機(注)の需要が見込まれている。国産機の量産化を軌道に乗せることで、中国経済の質の高い発展の一助にもなる」と述べている(「中央人民広播網」5月30日)。

(注)ナローボディ機とは、旅客機のうち内部通路が1つのものを指す。

(曾小桐)

(中国)

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