米シンクタンク、トランプ米大統領の対中姿勢に融和的な変化の可能性を指摘
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年01月30日
米国のドナルド・トランプ大統領は就任初日の1月20日、移民政策、エネルギー政策、政府職員の雇用・労働慣行に関する大統領令などを相次いで発表したものの(注1)、通商政策に関しては、貿易赤字の状況調査などを関係省庁に指示する大統領覚書を1本発表するにとどまった(2025年1月22日記事参照)。
トランプ氏の就任前の発言(注2)と比べ、就任直後の通商政策の出足が「遅くなった」ことについて、米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で経済プログラムおよび国際ビジネス・ショールチェアのシニア・アドバイザーを務めるウィリアム・ラインシュ氏は1月27日に発表した論考
で、「通商と関税はトランプ氏の大統領選挙戦の目玉政策だったため、中国に対する追加関税をはじめ、いくつかは就任初日に実行に移されると考えていた」として、予想外だったと述べた。一方で、関係省庁の調査結果を受けて、全貿易相手国に対するベースライン関税が課される可能性もあると指摘し、「ほっとするのはまだ早い」「今後さまざまな措置が講じられると予想すべきだ」と警鐘を鳴らした。また、中国に対する追加関税の発言内容が60%から10%に低減していることなどを指摘し、「トランプ氏は中国の習近平国家主席との取引(注3)に興味を示しているように見える」と述べ、トランプ氏の対中姿勢に融和的な変化が生じている可能性を示唆した。
米国シンクタンクのブルッキングス研究所は1月23日、北京外国語大学の国際関係学院の教授・学院長を務める謝韜氏による、米中関係に関する中国の有識者の見方を解説した論考
を掲載した。同論考では、「第1次トランプ政権を振り返れば、第2次トランプ政権に楽観的な見通しを持つ余地はほとんど残らないため、中国の有識者の圧倒的多数は極めて悲観的な見方だ」と総括した。一方で、楽観的な見方をする有識者もいるとして、「その理由の1つはトランプ氏の取引を重視する姿勢だ」「トランプ氏は人権や民主主義といった高尚な価値観について中国に説教するよりも、物事を成し遂げることにずっと興味を持っているように見える」と解説した。
なお、トランプ氏は就任前の1月17日に習国家主席と電話会談を実施したほか(2025年1月21日記事参照)、副大統領に就任したJ.D.バンス氏が1月19日、トランプ氏の就任式への参加を目的に訪米した中国の韓正国家副主席と対面会談を実施した。また、トランプ氏は就任初日に、中国発の動画共有アプリ「TikTok」の規制法の執行開始を延期する大統領令を発令した(2025年1月22日記事参照)。
(注1)移民政策では6本(2025年1月22日記事参照)、エネルギー政策では5本(2025年1月22日記事参照)、政府職員の雇用・労働慣行では7本(2025年1月30日記事参照)の大統領令などが発表された。
(注2)例えば、トランプ氏は2024年11月に、中国に対して10%、メキシコとカナダに対して25%の追加関税を課す意向を示した(2024年11月26日記事参照)。
(注3)米国シンクタンクは、具体的な取引内容として、ロシアとウクライナの戦争終結に向けた中国の影響力の利用(2024年11月25日記事参照)、米中経済・貿易協定の第1段階の合意内容の見直し(2024年11月25日記事参照)などを指摘している。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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