マレーシア、UAEとの包括的経済連携協定に署名、GCC加盟国と初のFTA
(マレーシア、アラブ首長国連邦)
クアラルンプール発
2025年01月16日
マレーシアとアラブ首長国連邦(UAE)両国政府は1月14日、包括的経済連携協定(CEPA)に署名したと発表した。〔同日付国営エミレーツ通信(WAM)〕。CEPAは、サービス分野も含む広範な自由貿易協定(FTA)で、マレーシアが湾岸協力会議(GCC)加盟国と同種の協定を締結するのは今回が初めて。
マレーシアとUAEは、2023年5月にCEPA交渉を開始し(2023年5月25日記事参照)、合意に至ったことをマレーシア投資貿易産業省(MITI)は2024年10月に発表していた(2024年8月10日付同省リリース)。ザフルル・アジズ投資貿易産業相は自身のSNSで、「UEAとのCEPAは、わずか11カ月と、マレーシアにとっては最も短期間で締結に至ったFTAとして新たな記録を樹立した」とし、今後5年以内に2国間貿易が6割以上拡大することへの期待を示した。2024年1~11月における両国間の貿易総額は、前年同期比8.6%増の395億3,000万リンギ(約1兆3,800億円、1リンギ=約35円)だった。UAEはマレーシアにとって、中東諸国の中では、サウジアラビアに次ぎ32%を占める貿易相手国だ。
交渉妥結時の声明でザフルル氏は、UAEとのCEPA発効により、マレーシア企業が中東、北アフリカ、欧州に進出するための足掛かりになると指摘していた。特に、電気電子製品、機械、宝飾品、加工食品、熱帯果樹、パーム油、ココア、ゴムなどは、協定発効に伴い関税が即時撤廃されると明らかにした。他方でUAEにとっても、マレーシアはASEAN市場進出へのゲートウエーとなるとの見方を示した。さらに、UAEからの投資を通じ、中小企業を中心としたマレーシア企業は、域内のサプライチェーンへの統合、能力構築、技術移転といった多くの機会に接することができると歓迎した。ザフルル氏はまた、UAEとのCEPAを皮切りに、GCC全体とのFTA交渉を推進することへの意気込みも見せた。
(吾郷伊都子)
(マレーシア、アラブ首長国連邦)
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