マレーシア、UAEとの経済連携協定交渉開始に合意

(マレーシア、アラブ首長国連邦)

クアラルンプール発

2023年05月25日

マレーシアとアラブ首長国連邦(UAE)は、包括的経済連携協定(CEPA)締結に向けた交渉を開始することで合意した。ザフルル・アジズ投資貿易産業相が5月23日、UAEのサーニー・ビン・アフマド・アール・ゼイユーディ貿易担当国務相と共同で発表した。

マレーシア投資貿易産業省(MITI)が同日出した声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で同省は、UAEとの協定実現により、両国間の戦略的協力関係がより一層強化され、相互に新たな機会をもたらすものだと述べた。マレーシアは2023年1月にもトルコとの自由貿易協定(FTA)をアップグレードさせており(2022年10月6日記事参照)、UAEとの協定が成立すれば、中東市場への展開にさらなる追い風となりそうだ。

声明でMITIは「CEPAは包括的かつ互恵的な協定だ。物品とサービスの貿易、投資、経済協力、その他新たな分野を対象とする」としており、市場アクセスの改善にとどまらない広範なルールを2国間で規定するとみられる。ザフルル大臣はCEPAについて「強力な戦略的協力関係の構築、イノベーション促進、経済成長、雇用機会の創出などを実現するための、包括的かつ互恵的な経済枠組みになり得る」「CEPAが両国企業や国民に大きな利益をもたらし、緊密なパートナーシップを新たな高みに押し上げると確信する」と期待を示した。

MITIによると、UAEはマレーシアにとって17番目の貿易相手国で、貿易総額は387億リンギ(約1兆1,610億円、1リンギ=約30円)に上る(2022年)。同大臣は「UAEはマレーシアにとって、中東での重要かつ戦略的な貿易相手国としての地位を維持してきた。他方で、マレーシアは、UAEがアジア太平洋市場に参入するための理想的な玄関口として機能している」と分析した。

両国は相互の貿易投資関係を強化すべく、CEPA締結に向けた交渉を今後開始し、定められた期限内に合意を目指す。マレーシアは5月現在、2国間や複数国間を含めて16のFTAを締結しており、直近では2022年に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定と、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)が発効した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア、アラブ首長国連邦)

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