米財務省、債務上限に対応するための非常手段の発動を宣言

(米国)

ニューヨーク発

2025年01月20日

米国財務省は1月17日、財政責任法の下での債務上限に関連し、1月21日に債務上限に達する見込みで、債務不履行を回避するために「非常手段(Extraordinary measures)」と呼ばれる措置を発動すると発表した。

ジャネット・イエレン財務長官がマイク・ジョンソン下院議長に宛てて発出した書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で触れている措置は、公務員退職・障害年金基金(CSRDF)や郵政公社退職者医療給付基金(PSRHBF)に資金を充当するための国債発行を3月14日まで停止する措置だ。財務省は、これらの措置により、170億超ドルの余剰が生まれるとしている。また、今回とられる措置以外に、為替安定化基金への再投資を停止する措置なども検討しているという。

今回の発表では、これらの措置によりどの程度の期間、債務不履行を先延ばしにできるかは明確にされていない。債務上限を巡っては、2024年12月のつなぎ予算審議の中で、2027年1月まで停止する案が検討されたものの否決された(2024年12月20日記事参照)。共和党の中では2025年1月にカリフォルニア州で発生した火災(2025年1月15日記事参照)からの復興費用と債務上限を結び付けて議論するべきといった声もあがっているもようだが、こうした考えに対しては反対する声も多く、現時点では解決の見通しは立っていない(政治専門紙「ポリティコ」2025年1月16日)。

(加藤翔一)

(米国)

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