進出日系企業、日欧とロシア間の物流や並行輸入問題を議論
(ロシア、日本)
調査部欧州課
2024年12月20日
モスクワ・ジャパンクラブ商工部会通関委員会(事務局:ジェトロ・モスクワ事務所)は12月11日、ロシアと日本を含むアジア方面や、欧州方面との物流の現状把握と、各会員企業が抱える課題や対応策の共有を目的に、ラウンド・テーブルを開催した。14社・団体から22人が参加した。
会合の前半では、ウクライナ侵攻後のロシアを取り巻く物流の状況について、物流企業3社がそれぞれの活動の中で得られた知見を報告した。A社によると、ロシアの極東港の混雑状況は全体的にみて緩和されていないという。ロシア極東を経由した日本からロシア向けコンテナ貨物は減少しているものの、中国との間の貨物量が増えているためだ。
欧州からロシア向けの輸送も、日本からと同様に減少が続いており、B社はその背景にあるロジスティクスの複雑化や、経済制裁、決済の問題があると指摘した。厳しいビジネス環境の中、物流各社は事業継続の対応を迫られている。特に欧州とロシアの間では、相互に車両の入域を禁止しているため、C社は国境での積み替えのほか、中央アジアのナンバーのついた車両を活用する事例などを対応策の1つとして例示した。先述のB社は、欧州各地で集められた貨物をエストニアのタリン港からロシアのサンクトペテルブルク港へ運ぶ短距離海上輸送サービスを始めていることなどを紹介した。
後半の意見交換では、並行輸入への対応について多くの意見が出された。メーカー販社D社は、日本やロシア以外の第三国向けに出荷された自社製品がロシア法人の関与しない商流を通じてロシア国内で流入する一方、エンドユーザーからはロシア法人に対し補償や交換の要求があり、対応に苦慮している事例を報告した。これに対し、法務・税務コンサルのE社は並行輸入品対策として、a.税関登録により当該ブランドの輸入申告があった場合に、ロシア国内の権利者に通知される知的財産対象税関リスト(トロイス)の活用、b.産業商務省が定める並行輸入許可リスト(2022年5月6日記事参照)への当該ブランドメーカー名の記載の有無の確認が必要とのコメントがあった。
(欧州課)
(ロシア、日本)
ビジネス短信 e1daaf26e3b26bea