グローカリスト、「メーク・イン・スリランカ」でインド進出企業のリスク低減支援

(スリランカ、インド)

コロンボ発

2024年12月17日

ジェトロが11月に発表した「2024年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」では、インド進出日系企業から、高い景況感を背景に事業拡大の意欲を見せる回答が目立った一方で、現地展開のリスクとして、「税制・政務手続きの煩雑さ」(63.0%、前年比6.1ポイント低下)が指摘された。税制改正や法解釈変更などが潜在的な課題となっている(2024年3月26日付地域・分析レポート参照)。

グローカリスト(Glocalist、本社:東京都港区)は、海外の公的機関が発信する情報を随時収集し、現地語のほか、日本語、英語に翻訳した要約文を提供するサービスにより、海外ビジネスを展開する企業のリスク軽減を支援している(添付資料表参照)。現在はベトナム、インド、タイ、インドネシア、マレーシアを対象にサービスを提供する。

インドの連邦政府や地方政府、司法機関など117機関からの情報収集サービスの仕組みはスリランカのIT企業と協業して開発した。同社代表取締役CEO(最高経営責任者)の吉川真実氏はスリランカでの製品開発について、「ベトナムやフィリピン、インドネシア、インドなどと比較すると、スタートアップ企業にとって優しい価格帯で技術を提供してくれる傾向がある。英語が堪能で、タミル語やヒンディー語、ベンガル語を解する人材もいるため、インドの情報収集も可能だ。システムやプログラムを新たに構築する高度な知識を持つサーバーや生成人工知能(AI)のエンジニアは少ないが、ウェブアプリケーションやプログラミングには一定の能力がある。素直な人材が多く、日本企業との親和性も高い」と話した(インタビュー日:11月29日)。

また「当初は、インドでの開発も検討したが、現地のITエンジニアから目指す製品の仕様について納得が得られず、現段階ではインドでの開発を断念した。インドには社員の積極的な提案を評価する土壌があり、白熱した議論から新たに革新的な製品を生む可能性もあるが、開発段階次第ではその進め方が難しいこともある」と語った。

スリランカは、海外企業から有望なデジタル人材供給源として注目されており(2024年3月18日付調査レポート2024年6月25日付地域・分析レポート参照)、日本のスタートアップ企業にも有力開発拠点、いわば「メーク・イン・スリランカ」(注)となりそうだ。

(注)インドでは、「メーク・イン・インディア」を掲げて製造業およびサービス業の振興を図っている。

(大井裕貴)

(スリランカ、インド)

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